スカイマーク、「継続前提に注記」の顛末 なぜ決算発表が2時間も遅れたのか

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さらに、6月から運航を始めた欧州エアバス製の新機材「A330」の導入に伴って、機材費や運航乗務員の訓練費が増加。原油価格が高水準で推移したため、燃油費も膨らんだ。その結果、第1四半期の最終損益は57億円の赤字に沈んだ。

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西久保愼一社長が抱える苦悩は深そうだ(撮影:今井康一)

だが、スカイマークが直面している継続前提の疑義は、業績面の不安だけではない。2014年度から順次、合計6機の導入を予定しているエアバス製の超大型機「A380」の購入契約をめぐる問題だ。

スカイマークは7月25日、エアバスからA380の購入契約解除を通知された。今年4月に支払うはずだった前払い金8億円が未納となったことで、エアバスが契約不履行と判断したためだ。

A380は6機合計の発注額が約1900億円。2012年度の決算短信に記載されていた資金計画を見ると、2014年度の支払い予定額は530億円。それまでは年間100億円以下だったが、今期はそれが一気に膨らみ、支払いのピークを迎えるタイミングだった。そこで未納を起こしてしまった結果、エアバスがスカイマークに不信感を持ったことは想像に難くない。

エアバスは目下、スカイマークに対して700億円規模の違約金支払いを求めている。スカイマークは今後も協議を継続したい考えだが、エアバスが態度を軟化させない場合、巨額の追加負担を強いられることになる。

助ける金融機関はあるか

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スカイマーク社内の混乱は、いかほどだったか(撮影:今井康一)

疑義の解消を目指す策として、スカイマークは「A330導入による輸送力の強化」「不採算路線の休止」「金融機関からの借り入れ」などを挙げている。

確かに、従来よりも広めの座席を取り入れたA330は、順調な搭乗率を維持している。それでも、格安航空会社(LCC)との価格競争が災いし、思っていたほどの効果を上げられていない。また、目下のような騒動の最中にあるスカイマークに対し、資金を貸してくれる金融機関を見つけることは容易ではないだろう。

逆境を打破するために導入を決めた新たな機材が、スカイマークをさらなる窮地に追い込もうとしている。スカイマークは抜き差しならない状況にある。

武政 秀明
たけまさ ひであき / Hideaki Takemasa

1998年関西大学総合情報学部卒。国産大手自動車系ディーラーのセールスマン、新聞記者を経て、2005年東洋経済新報社に入社。2010年4月から東洋経済オンライン編集部。東洋経済オンライン副編集長を経て、2018年12月から東洋経済オンライン編集長。2020年5月、過去最高となる月間3億0457万PVを記録。2020年10月から2023年3月まで東洋経済オンライン編集部長。趣味はランニング。フルマラソンのベストタイムは2時間49分11秒(2012年勝田全国マラソン)。

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