石油化学で再編が加速、頼みの中国市場を警戒
勝ち残りを懸けた国内石油化学産業の再編が本格化してきた。
三菱ケミカルホールディングスと旭化成は5月31日、岡山県の水島コンビナートで石化製品の基礎原料となるエチレン事業を、来年4月に統合すると発表した。それぞれの子会社が共同出資し、運営会社を設立。両社が1基ずつ持つエチレン設備を一体運営することで、合計で年産100万トンの能力を2012年までに3割落とす。将来の需要動向次第では2基のうち1基の停止も検討する。
これに先駆け4月には三井化学と出光興産も、千葉コンビナートでエチレン設備の運営を統合している。
エチレンの国内生産は10社が各地の石油コンビナート内で手掛け、年産能力は合計約720万トン。足元の稼働率は9割超。にもかかわらず再編が進むのは、需要が将来剥げ落ちる懸念があるからだ。
目下、堅調な国内生産を支えているのは輸出。経済産業省によればエチレン由来の化学品の輸出は年間220万トン程度に上る。中でも、最大の出荷先は中国である。
経済成長が著しい中国では、エチレンを使う化学品需要が旺盛。国内化学大手各社でも、中国向け需要拡大が業績改善の要因となっている。
中東と中国が増産
だが、これが長く続く保証はない。安価なエチレンに強みを持つ中東が08~13年に年産1000万トン、中国国内でも同750万トンと、それぞれ大規模増強を計画している。中国の内需が同800万トン程度伸びるとの予測もあるが、コストの面で優位性を持つ両国との競争で、日本勢が打撃を受ける可能性がある。