石油化学で再編が加速、頼みの中国市場を警戒
中国経済そのものにも減速リスクがある。経産省製造産業局の高田修三・化学課長は「中国の経済成長率が1%動くと、エチレン需要は3年で80万トン変動する」と指摘する。
こうした中で「エチレンの国内生産は500万トン程度まで減る」と、三菱ケミカルの小林喜光社長と旭化成の藤原健嗣社長の見方は一致する。同連合は年産200万トン以上の需要急減も覚悟している。今回統合に踏み切ったのも、設備縮小によるコスト削減など、急激な需要減退を見据えた下準備といえるだろう。
一方、「1基止めるほど生産能力を縮小すれば収益は安定するが、市場拡大の際に収益機会を逸する可能性もゼロではない」(バークレイズ・キャピタル証券の山田幹也シニアアナリスト)との声もある。足元は堅調なだけに、石化再編に切迫感のない化学メーカーもある。
中国需要の先行きをどう読むか。国内外での競争が一段と激化する中、石化各社は難しい選択を迫られている。
(武政秀明 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2010年6月12日号)
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