八村塁が「日本選手団旗手」を務める大きな意味 複数の人種ルーツを持つ人たちはどう見る?
「日本が八村塁を旗手に選んだことは素晴らしいことだ」。映画『STAY』の監督であるリグビーはこう話す。「3人のハーフの子どもを持つ父親として、子どもたちと似た容姿を持ち、国を代表して国際舞台に立つ存在を彼らに見せることはとても素晴らしいと思う」(リグビー)。
「ある意味、とてもいいことだと思う。八村のことは大好き。彼はとても立派だし、旗手の1人がハーフで嬉しいわ」と話すのは、2人のハーフの子どもの母親であるジャマイカ系イギリス人、松井ヘイアブリルだ。「それにもし私が八村の母親ならとても誇らしいでしょうね!彼は最高の選手よ」。
だが、今回の決定に含まれた意味について、名古屋の大学で教授を務める松井ヘイは複雑な感情も抱いている。
「今回のことは、日本でより多文化化が進み、複数のルーツを持つ人たちを日本人と同じように受け入れる準備の兆候に見えるかもしれない。だとしても私は、2人の黒人と日本人の美しいハーフの母親として、この社会をハーフの子どもたちを育てるのに適した場所にするために、やらなくてはならないことがもっとたくさんあると思う。もちろん、ハーフの子どもたちの母親としての視点から見ると、今回のことはいいことではある。しかし、本当の変化は地方レベルで起こる必要がある」
スポーツによる影響は未知数
ガーナ系日本人のペレ・ヴォンクジョビヴィは「とても将来性のある動きで、誰が日本人かということへの理解を深める手助けになると思う。日本人にはさまざまな形、色、大きさがあるんだ、と」と話す。
「とはいえ、多くの先進国では『ミックス』、あるいは移民の価値をスポーツへの貢献に結びつける傾向があると思う。黒人のハーフはしばしばスポーツの才能を賞賛されてきたけど、世間は何度も彼らの才能を(スポーツだけの)最小限にしてきたようにも感じる。そう、もしかしたら八村が旗手になることは、日本人にとってとても革新的な考え方へシフトする手助けにはならないかもね」
「イギリスがそうだったように、スポーツはうまくいけば国を団結させる力がある。でもうまくいかなかった場合、状況はすぐさま悪化し、スポーツを通して得たように見えた多様性と包括は非常に早く消えるだろうね」と、日本とアフリカの溝を埋めることを視野に設立された団体「ジャスポラ」共同設立者を務めるヴォンクジョヴィは説明する。
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