北朝鮮、実は食糧自給率100%に近い? 穀物生産が回復傾向、食糧難は徐々に解消も
「北朝鮮は食糧難」というのが日本では常識のように語られることが多い。だが、北朝鮮の穀物生産は回復傾向にあり、食糧自給率も100%に近いレベルにあるようだ。
その根拠の一つが、国連食糧農業機関(FAO)と世界食糧計画(WFP)が毎年発表している「北朝鮮の作況および食糧安保評価特別報告書」(Special Report: Crop and Food Security Assessment Mission to the DPRK)だ。
これは、両機関の担当者が北朝鮮を訪問して多くの農場に足を運び、北朝鮮の農業省の資料などを照会して作成するもので、2013年11月に、2012年の収穫分と2013年春の収穫分(2012年11月~2013年10月まで)を予想してデータを発表している。
国連統計が示す食糧生産量は「緩やかに増加」
最新の「2013・14年度の報告書」で見てみよう。2013年度の北朝鮮の食糧生産量は503万トン。一方、食糧需要量は537万トンで、不足分は34万トンとなっている。食糧生産量には、家庭菜園などでの栽培や傾斜地での栽培分も含んでいる。
不足分で見ていくと、2010・11年度(11~10月)は86.7万トン、2011・12年度は73.9万トン、2012・13年度は50.7万トンとなっており、不足分が徐々に減少していることがわかる。
生産量も、10・11年度は425万トン、11・12年度は445万トン、12・13年度は484万トンと増加。FAOとWFPは今年の生産量を526万トンと推定している。一方、一橋大学の文浩一(ムン・ホイル)氏は、『朝鮮農業の今』(社協ブックレット、2014年6月)の中で、朝鮮社会科学院経済研究所の李基成(リ・ギソン)教授から聞いた話として、2013年(1~12月)の穀物生産高は562万4000トン、前年比32万6000トン増加したと記している。なお、2013年9月には前出の李教授が東洋経済のインタビューで、2012年度の穀物生産量を529万8000トンと答えている。
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