高額でも「ゴツいSUV」が急に売れ始めた2つの理由

ラングラーやランクルが大人気となった背景

ラングラーが注目される2つ目の理由として、SUVに対するニーズの変化も挙げられる。それは「SUVの原点回帰」だ。

過去を振り返ると、2000年以降に急増したSUVは、日本車でいえばハリアー、ヴェゼル、マツダ「CX-5」、レクサス「RX」のような、都会的で野性味の薄いタイプであった。大径タイヤなどにより存在感は強いが、“背の高いワゴン”という雰囲気のクルマである。

シティ派SUVの代名詞ともいえる「ハリアー」(写真:トヨタ自動車)

近年のSUV市場では、このようなシティ派SUVが大量に販売された結果、飽食気味になってきた。そこで、原点回帰のトレンドが生まれた。SUVの出発点ともいえる、悪路走破性や野性的な外観に重点を置いた車種が、注目されている。

ジムニーはいまだ「納期1年~1年半」

特にラングラーは、ミリタリージープの伝統を受け継ぐ直系の車種だから、原点回帰の傾向が生まれると真っ先に人気を高めた。日本車では、原点回帰のトレンドに沿って、軽自動車のスズキ「ジムニー」が好調に売れている。

2018年の発売時点では生産規模が小さく、納期も大幅に遅延したため、増産体制を整えた。その結果、2021年上半期には、2万2127台(1カ月平均で3688台)が届け出されている。

居住性や燃費では「ハスラー」や「ワゴンR」に劣るが「ジムニー」の人気は根強い(写真:スズキ)

ジムニーの販売実績は、スズキ「ワゴンR」やホンダ「N-WGN」などの軽乗用車に迫るから、いかにジムニー人気が根強いかがわかる。それでも販売店では「ジムニーの納期は、今でも1年から1年半を要する。増産しても需要が湧き上がり、納期が縮まらない」という。ジムニーには底知れぬ需要があるわけだ。

ランドクルーザーも、一回りコンパクトな「ランドクルーザープラド」を含めて2021年上半期には1万8540台(1カ月平均で3090台)を登録した。この内の90%以上がプラドだが、Lサイズの悪路向けSUVが、CX-5などよりも多く販売されているとは驚かされる。

「ランドクルーザー200系」。8月にはフルモデルチェンジされた300系が発売される(写真:トヨタ自動車)

この背景にも、ラングラーと同じく高値で売却できるメリットがある。ランドクルーザーは、次期型の300系を2021年8月2日に正式発表するが、販売店では「ランドクルーザーであれば、3年落ちの車両を新車時の65~70%で買い取れる」という。

新車販売台数が限られるため、中古車の流通台数も少なく、その一方で海外への輸出を含めてランドクルーザーの需要は多い。それが、高いリセールバリューを誇る理由だ。

ラングラー、ジムニー、ランドクルーザーは、FR(後輪駆動)をベースとした悪路向けのSUVだが、トヨタ「RAV4」は、シティ派のハリアーとプラットフォームなどを共通化したFF(前輪駆動)ベースのSUVだ。

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