高額でも「ゴツいSUV」が急に売れ始めた2つの理由 ラングラーやランクルが大人気となった背景
それなのにトヨタ以外の日本車メーカーは、同じサイズで異なる車種を作りわけられるSUVのメリットを生かせていない。日産は、かつて実用志向の正統派SUVとして「エクストレイル」、スポーティな「デュアリス」を同程度のサイズでそろえたが、後者は今では廃止されている。
今のトヨタ以外のメーカーは、軽自動車に力を入れる。2021年上半期の販売統計によると、日産の販売台数における軽自動車の割合は41%、ホンダはさらに多く57%にも達する。その結果、新車1台あたりの利益が減った。利益率を改善したいなら、効率よく開発できるSUVを充実させるべきだろう。
スバルは小規模メーカーだが、「インプレッサスポーツ」をベースにSUVの「XV」を開発した。
XVの人気は高く、本家ともいえるインプレッサスポーツの1.7倍も売れている。スバルは「フォレスター」をラフロード派のSUVに仕上げ、XVとの違いを明確にしたことも、2車種のSUVが共存できた理由だ。
また、今ではトヨタも含めてすべてのメーカーが、販売系列ごとの車種ラインナップを廃止し、全販売店が全車種を扱う。そのため、トヨタのシティ派SUVであれば、ヤリスクロスのユーザーをC-HR、さらにハリアーへと上級車種に導くことも可能だ。
利益アップにも電動化にも
昨今の乗り換えのトレンドは、小さなクルマに乗り換えるダウンサイジング、あるいはホンダ「N-BOX」を一貫して乗り継ぐようなイコールサイジングが主流だが、これでは発展性が乏しく、客単価アップも見込みづらい。
SUVを上手に活用すれば、生活環境などの変化に応じたアップサイジングを促しやすいから、伸び悩む新車需要を改善できる可能性を秘めているといえる。また、SUVは車高が高いので、床下にリチウムイオン電池を搭載するEV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド)を開発するにも有利だ。
SUVは、さまざまな意味で時代の流れと親和性が高い。シティ派/ラフロード派/本格オフロード派という作りわけを含め、いかにSUVの価値を引き出す商品開発を行えるかが、重要な時代になったといえる。
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