子どもの可能性をつぶす、恐るべき「13の禁止令」 親の「よかれ」が子どもの脅威になるという現実

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親は、はっきり意図してというより、無意識の反応や声かけによって結果的に束縛してしまっています。無意識だから厄介です。気づかぬうちに子どもの行動を制限し、可能性をつぶしてしまっているのです(少し極端な例かもしれませんが、いわゆるモラハラ夫は自分がそうだと認識していないことが多く、熟年離婚に踏み切られたタイミングでもまったく理解できず、ただふさぎ込む人が多いそうです。それと同様です)。

「拮抗禁止令」と「13の禁止令」がヒントに

それでは、「子どもに幸せになってもらいたい」という気持ちのとおりに働きかけをしていくためには、どうしたらいいのでしょうか?

そのヒントになるのが心理学の「拮抗禁止令」と「13の禁止令」です。

親は子どもが生まれた瞬間から、その子に対してさまざまな制限や禁止を与えています。これ自体は普通のことです。社会の中で生きていくために、幸せに過ごすために、必要なルールや価値観を教えるわけです。これを「拮抗禁止令」あるいは「禁止令」と言います。

なんでもお口に入れてはダメ、周りを汚してはダメ、大声を出してはダメ、好かれるために笑いなさい、喜んで食べなさい……。赤ちゃんの頃は、言葉でというよりも表情やジェスチャーで伝えることが多いでしょう。

子どもが自分で判断できるようになる前に植えつけられるので、その子の人格や人生そのものに大きな影響を与えます。

乳幼児期に親から無言のうちに与えられる「拮抗禁止令」の中で、特に厄介なものとされるのが次に挙げる5つです。アメリカの臨床心理学者テイビー・ケーラー氏は、これらを「ドライバー」と呼びました。行動を駆り立てるもの、追い立てるものという意味です。これらのドライバーは、特に強迫的に「こうしなければならない」と感じやすい代表的なメッセージと考えればよいでしょう。

●拮抗禁止令
1  完全、完璧であれ…繰り返ししっかりするように教えたり、「ちゃんとしていないと認めない」という態度から伝わるメッセージ。これをドライバーとして持っていると、自分にも他人にも厳しくなり、他人の欠点が目についてしまう。自分が完全でないことに不安や焦燥感を持つ。
2  他人を喜ばせ、満足させよ…つらいときや悲しいときも、笑顔でいることを求めることで伝わるメッセージ。他人に親切にして喜んでもらわなければ自分には価値がないと感じ、自分の気持ちよりも他人を優先しがちになる。
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