異例の「大規模デモ」キューバが置かれている状況 人々がSNSやネットで窮状を訴える姿も

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7月11日、キューバでは首都ハバナなど複数の都市で大規模な反政府デモが起きた(写真:ロイター/アフロ)

病院や薬局では、ペニシリンやアスピリンなどの基本的な医薬品が不足している。停電は猛烈に頻繁に発生し、苦しくなるほど長く続いている。幸運にも外貨を持っているキューバ人は、豆や米などの必需品を買うために何時間も並んでいる。

1990年代にソ連崩壊がキューバの国土に荒廃をもたらして以来、キューバ人が経験したことのないような苦難をもたらす著しい経済的衰退は、この数十年で国内最大の抗議運動を引き起こし、アメリカの政治家からは支援の声が、キューバ政府からは怒りの脅しが聞こえる。

数千人が街頭で抗議活動

ジョー・バイデン大統領は12日に声明を発表し、「われわれはキューバの人々とその自由への明確な呼びかけに賛同する」と述べ、同大統領の言う「キューバの権威主義的な政権によって受けた何十年にもわたる抑圧と経済的な苦しみ」に言及した。

バイデン大統領の発言は、11日にキューバで起こった驚くべきデモの波を受けてのものだ。デモでは、数千人が街頭に立ち、「自由」や「祖国と命」といったフレーズを叫んでいた。後者は共産党政権のモットー「祖国か死か」のもじりだ。

デモ参加者はパトカーを転覆したり、政府運営の店舗から略奪を行ったりした。このような公然たる反抗は、異論を排除してきた長い歴史と、無情な実績を持つキューバ国内で、インターネットを通して幅広く共有された。

キューバのミゲル・ディアス=カネル・ベルムデス大統領は、60年以上前のキューバ革命以来、カストロ一族以外で初めて国を率いた人物だが、今回の抗議行動を存亡の危機とみなしている。

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