異例の「大規模デモ」キューバが置かれている状況 人々がSNSやネットで窮状を訴える姿も

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キューバのディアス=カネル大統領は、キューバ共産党の機関紙「グランマ」の12日の一面に大きく掲載された発言の中で、「彼らが革命に挑みたいのであれば、われわれの屍の上を歩かなければならないだろう」と述べている。「われわれにはあらゆる手段を尽くす意思があり、街頭で戦うことになるだろう」。

しかし、同氏でさえ国内の問題の深刻さを認めざるをえず、12日には、過去数カ月間がキューバ人にとってどれほど困難なものであったかを理解していると語った。その一方で、今回のデモについては、食料不足や、停電、新型コロナウイルスによる死亡者数の増加にキューバが直面しているこの時期に、国民の「感情」を利用したアメリカ政府の卑劣なキャンペーンの産物であるとし、国民の忍耐を訴えた。

「国民が不満を持つことは妥当だが、同時に、誰かの手に操られていないか明確に見極める必要がある」とディアス=カネル大統領は述べた。「彼らはシステムを変えようとしている。それから、キューバにどのような政治形態を押し付けようとしているのかは言うまでもない」。

バイデン大統領は強硬派

キューバ政府を「権威主義的な政権」と一刀両断したバイデン氏の発言は、数十年にわたる両国間の反目を払拭し、「過去の足かせ」を断ち切ることを強調してきたオバマ元大統領の立場から、顕著な変化を示している。

オバマ元大統領はキューバとの関係回復を外交政策の中心に据え、両国の関係を大幅に拡大したが、トランプ政権はこの緊張緩和を即座に取り払おうとした。

しかし、11日に行われたキューバでの抗議活動を受けて、アメリカでは民主党と共和党が同様に抗議活動を支持する発言をし、両党が一定の合意を得ることができた。

マイク・ペンス前副大統領はツイッターで、「アメリカは、抑圧されたキューバの人々が、生まれながらの権利である#Libertad(自由)のために集まっていることを支持する」と書いた。「アメリカは自由で民主的なキューバのために立ち上がる!」

一方で、抗議行動やその原因となっている生活の困窮について、アメリカの対キューバ禁輸措置が原因だという非難の声もあがっている。キューバ政府もまた、デモが発生したときに同様の姿勢を示した。

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