太るアフリカ!健康の大問題は飢餓より「肥満」 家庭訪問でわかった急激に生活がよくなる予兆

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ナイジェリアでは、日本の会社員平均を超えているのは、3%程度。年間世帯収入が30万円以下の人たちが68%もいる。ケニアも、この層が76%です。しかし、これを都市のラゴスやナイロビで見ると、日本の会社員平均を超えている人たちが1割近くになる。

南アフリカは人口5800万人ほどですが、465万人が白人です(2019年)。この人たちはもう、オーストラリアなどと同じ所得レベルです。残りの約5300万人の所得レベルが大きく落ちるのが、南アフリカの特徴です。

南アフリカはバスコ・ダ・ガマが発見し、その後ポルトガルが約100年、オランダが約100年、イギリスが約200年統治していました。アパルトヘイト政策が長く続いたのは有名な話ですが、白人とネイティブアフリカンとの格差は今も続いています。

家庭訪問でわかった生活のリアル

平均ではとてもつかめないのが、アフリカ。ルワンダでマカデミアナッツ農場を経営し、アフリカ企業に投資をしている私たちは、さまざまな層の家庭に直接、家庭訪問をして様子を見させてもらってきました。

家庭訪問をしていると、日本人と変わらない暮らしをしているアフリカ人も大勢います。現地で世帯年収が800万円を超えたりすると、そうとう豊かな暮らしになります。一方、世帯年収が100万円程度でも暮らしぶりが厳しいのかというと、必ずしもそうでもない。物価水準も低いからです。

農村で暮らす人の中には、電気も水道も来ていないケースがたくさんあります。では、貧しいのかと言われると、暮らしている人たちは何とも思っていない。子どもたちは、無邪気に走り回っています。ただ、現金収入が少ないというだけです。自給自足なので困ってはいない。

日本のように住む場所がなくて、インターネットカフェで毎日、朝まですごしている、なんて人はいません。そういう意味での「貧しさ」がない。

もちろんスラム街や、内戦で難民として逃れてきた人たちが暮らしているエリアには厳しさはありますが、NGOやNPOが頑張って支援しています。餓死するということは、基本なくなってきています。

農村はのんびりしていて、誰もガツガツしたりもしていません。怠けているわけでもなくて、みんなどうにか生きようということで、何らかの仕事をしている。畑仕事をし、まきを運んだり、何かを売ったり。

とりあえず働かないと食べられません。1日働いて500円でも、300円でもいいから手にしたい。そういう印象です。

実は一昔前の日本もそうでした。私の祖父(明治38年生)の時代、定職を持っている人は「月給取り」と言われて、希有な存在。その時代は人口の8割は農村におり、村内でほぼ自給自足の生活。農家の次男以下はでっち奉公というのが普通だったそうです。

それが、戦後、高度成長期を迎え、子どもたちが高校や大学に通うようになり、都市に住むようになっていった。これから、アフリカにもそういう時代が本格的にやってくるのです。

ただ、今の生活が不幸なのかといえば、まったくそんなことはない。そんな印象です。家庭訪問に行っても、屈託のない笑顔で対応してくれます。この朗らかさもまた、アフリカの特徴かもしれません。

そしてこれから、日本がそうだったように、アジアの国々がそうだったように、アフリカも急激に生活が豊かになっていくはずなのです。

椿 進 AAIC代表パートナー

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つばき すすむ / Susumu Tsubaki

Asia Africa Investment and Consulting(AAIC)代表パートナーを務めるアジア・アフリカビジネスのスペシャリスト。東京大学教養学部卒業。ボストン コンサルティング グループ(BCG)のパートナー・マネージングダイレクターとして、事業戦略、M&A戦略のプロジェクトを実施。2008年に現AAICを創業し、代表パートナーに就任。中国・東南アジア・インド・中東・アフリカ等で、新規事業育成、市場参入支援等をコンサルティングと投資を通じて実施。日本初のアフリカ・ファンドも運用。ルワンダではマカデミアナッツ農園も手がけている。執筆、講演多数。ビジネス・ブレークスルー(BBT)大学大学院教授として後進の育成にも力を注いでいる。

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