太るアフリカ!健康の大問題は飢餓より「肥満」 家庭訪問でわかった急激に生活がよくなる予兆

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アフリカの難しさは、第2次産業がなかなか立ち上がらないことです。とはいえ、エチオピアは縫製業が立ち上がりつつあり、アジア型の発展の可能性がある国です。現在、日本の高度成長期のような建設ラッシュで、公団住宅や都市公共交通、高速鉄道などの建設が一気に進んでおり、建設業の割合が増えています。

アフリカ最大の国、ナイジェリアのGDPは約40兆円です。経済規模は長年、南アフリカがずっと1位でしたが、抜き去りました。ナイジェリアはGDPベースでの産業構造は分散しているのが特徴です。

一方、外貨獲得の9割は石油製品で占められています。内需は広く分散していますが、輸出は9割が石油製品。これは、産油国であることが理由ですが、ほかの産業も大きくなって、すでに税収では半分以上は石油以外からになってきているようです。

考えてみれば、約2億人がいて、飢えない国。とてもポテンシャルのある国だと思います。

肥満による生活習慣病が増加

2019年、アフリカで大ブームになったものがあります。フィットネスクラブです。「9割の日本人が驚愕『これがアフリカなのか!』」にも書いたように、新型コロナウイルスの流行前までは、ナイロビではフィットネスクラブが大人気でした。

日本でも、バブル期にフィットネスクラブ(当時はスポーツクラブ)が次々に出てきたことを記憶されている方も多いでしょう。それまでの日本では、お金を払って運動をする/トレーナーをつけて健康を維持する、ということは一般的ではなかった。そもそもそれまでは、近くにスポーツクラブがありませんでした。

アフリカでも、こういう時代がやってきたということです。健康のためにお金を払って体を動かしたい。そこで、ショッピングモールの中に次々とフィットネスクラブができ、ブームになっていたのです。また、スマホを使ってのエクササイズやダイエットのためのアプリなども多数出てきています。

もちろん、これは都市部を中心とした2割くらいの人たちの話ではあります。農村やスラムに暮らす人たちは、まだまだこの感覚はありません。しかし、ケニアの2割だけでも約1000万人。すでに大きなマーケットになりつつあるのです。

アフリカというと、飢餓の映像が頭に浮かぶ人も、日本ではまだまだ多いのですが、今や飢餓は、戦争・内戦や天災以外では少なくなってきています。国だけでなく国連やNGOやNPOなどによって、さまざまな支援があるからです。もちろん新型コロナにより一部の難民キャンプなどで食糧が不足することはあったようです。

むしろ、アフリカで死の危険が高まっているのは、太りすぎなどによる慢性疾患です。飢餓で死ぬ人は減少し、肥満による生活習慣病で死んでしまう人が、多くなってきているのです。

次ページ国家ビジョンに盛り込まれるヘルスケア領域の発展
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