名門の米ギブソン、東京から始まる世界戦略

ギター界の巨人が世界初のショールームを開設

ギブソンの「レスポール派」か、それとも米フェンダーの「ストラト派」か。ロックギタリストはこの2派に分かれる、と言っても過言ではない。それほどギブソンの存在感は絶大だ。

ギブソンは足元の業績も好調なようだ。ジャスキヴィッツCEOの就任以降、年間20%の事業拡大(売上高ベース)を続けている。それでも、楽器全体の中で見ると、現在の世界シェアは10%以下でしかない(音響機器含む)。

M&Aにも積極的

ジャスキヴィッツCEOがアップルなどを引き合いに出すことからわかるように、同社は録音機器などを含めたブランドとしての価値を一層高めることで、楽器界での存在感を上げようとしている。「長期的には、マーケットシェア50%を目指したい」と、同CEOの鼻息は荒い。

ジャスキヴィッツCEO(右)とウィボ・バージェスCEO(左)

成長戦略の要となるのが、M&A戦略だ。同社はこの4月にも、オランダの電機大手フィリップスの音響機器部門の買収を発表。同部門(Woox Innovations)トップのウィボ・バージェスCEOは、「われわれにとっても、おもしろい発展が考えられる。フィリップスは健康や照明などライフスタイルに関係した分野に経営資源を集中する方針で、オーディオは中核事業ではなくなった。しかし、われわれは今後、ギブソンの中核戦略の一部となる」とギブソンとの相乗効果に期待を寄せる。

日本でも、12年にオンキヨーへ出資(現出資比率21.5%)したほか、13年にはティアックを子会社化(現出資比率54.4%、ギブソンホールディングスによる出資)。日本企業へのさらなる出資を標榜する。

「日本にはギターを生産する優秀な会社、ギター製作を学べる優秀な学校があり、業界にはたくさんの優秀な人材がいる。(われわれがM&Aを実施することで)業界を強くする機会を探っている」(ジャスキヴィッツCEO)。

ローランドへの出資も検討?

同氏は次のようにも語る。「ローランドの経営者には、以前にお会いした。三木純一社長にも会いましたよ。とは言っても、ローランドへの出資については、現時点は考えていない。ただ、いつか何かが、さらに発展することも考えられる。もしそうなれば、夢が実現することになる」と、将来的に出資を検討する可能性があることをほのめかした。

ティアックやオンキヨーとのコラボレーションによるショールームは、「ギブソンのM&A戦略を象徴する拠点」とも言える。業界関係者を含めると、毎日100人以上の訪問者があるという。

音楽ファンの新たな聖地となるだけでなく、ギブソン成長戦略の試金石となるか。その両面から、新拠点に注目が集まる。

(撮影:谷川真紀子)

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