しかし、今回の鉄道運輸規程で追加された条文は、令和の世、21世紀になってからの追加であるにもかかわらず「文語体カタカナ」である。
本来なら、「口語体ひらがな」で、たとえば、
としてもいいはずである。
しかし、鉄道運輸規程の他の条文は制定された時期の関係もあっていまだに「文語体カタカナ」のままで残っている。他の条文が制定当時の「文語体カタカナ」のままなのに、改正や追加された条文だけ「口語体ひらがな」となってしまうと、条文表記のつり合いが取れない。そのため個別の条文の修正や追加などがあっても法令全体が「文語体カタカナ」のものは「口語体ひらがな」にはしないという扱いになっているようである。
120年前からある鉄道営業法
ほかにもこのような扱いの条文は散見される。
たとえば鉄道営業法の第14条を見てみる。鉄道営業法自体は、今から120年以上前の1900年(明治33年)に作られた古い法律であるが、2017年に改正民法が公布されたときにあわせて第14条が改正されている。
もともとは「運賃償還ノ債権ハ一年間之ヲ行ハサルトキハ時効ニ因リテ消滅ス」と定められていたが、改正民法に即するよう2017年に「運賃償還ノ債権ハ之ヲ行使スルコトヲ得ベキ時ヨリ一年間行使セザルトキハ時効ニ因リテ消滅ス」と改正された。
もし、まったく新しい法令で制定されたとしたら、例えば「行使セザルトキハ」の部分は「行使しないときは」という柔らかい言葉遣いで「口語体ひらがな」になったであろう。
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