平和不動産、切っても切れない東証との「蜜月」 株主総会で露呈したガバナンス上の大問題

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「相場より安いということはない」

5月下旬に開催された決算説明会で、土本社長は東証ビルの賃料水準に言及した。個別物件の細かな説明は行わないのが通例の中、東証ビルだけは具体的な金額を織り交ぜつつ妥当性を訴え、株主提案を牽制した。

坪1万6650円というリム側の試算に対しては、「1棟貸しであることを考慮していない」(土本社長)と反論する。ロビーや廊下といった賃料の発生しない部分を除いた賃貸面積を延べ床面積の65%と仮定すると、賃料は坪2万6000円になり、相場並みの賃料になるという。

東証ビル頼み、今は昔

仮に平和不の言うように賃料水準が妥当だとしても、東証との紐帯を保つ理由にはなりにくい。業績における東証ビルの存在は、かつてほど高くないためだ。

1990年代は東証ビルからの賃料収入が売上高の4割を占めていた。しかし、平和不動産は2000年代から再開発や物件売買を加速。物件売却益や大型ビルの賃貸収入が膨らんだ結果、2021年3月期決算では売上高に占める東証ビル賃料の割合は8%にとどまる。

同じ2021年3月期には、三菱地所がスポンサーを務める私募REIT「日本オープンエンド不動産投資法人」に対しては約81億円の売り上げがあった。得意客はもはや、東証だけではなくなっている。

平和不動産と東証との関係は戦後間もない頃までさかのぼる(記者撮影)

業績への寄与度が低下しているにもかかわらず、平和不はなぜ東証との関係維持に心を砕くのか。平和不は「当社は証券業とともに歩んできた。東証出身者がトップに就くことが企業価値の向上につながる」と説明する。

平和不の源流は1943年に設立された日本証券取引所(日証)にさかのぼる。当時全国11あった取引所を国策によって統合した日証だったが、GHQは戦後、経済民主化の一環で日証市場の再開を認めなかった。

そこで日証を解散する代わりに、取引所を運営する会員組織と建物を保有する不動産会社を新たに設立することを決定。日証から取引所の建物を引き取り、1947年に設立されたのが平和不だ。出自からして証券取引所とは縁が深い。

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