米国を賑わす「新世代アイスクリーム」の秘密 アイスクリームへの愛が、イノベーションを生んだ!

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自分でそんな作り方を開発しようと、フィッシャーはコンサルタント会社を辞めてスタンフォード大学のビジネススクールへ入学する。起業家を育てることで知られるスタンフォード大学のdスクールでエンジニアリング学部の学生に会い、一緒にアイスクリームの原理を研究した。

しかし、その後2年間はそのままアイスクリーム機を作るのに費やした。NASAをリタイアしたエンジニアにプロトタイプ機を作ってもらい、それを完成させるまでは友人の家に寝泊まりして、開発のために地下室でずっと仕事を続けるような日々が続いた。機械を作るための材料費が尽きた際には、コンサルティングの仕事に6カ月だけ戻って資金を稼ぎ、それをまた開発に注ぎ込んだ。

手押し車での路上販売から、ブレイクへ

まだまだ光が見えないときに決定打となったのは、フィッシャーの行動力である。手押し車にBrrr機を載せて路上でアイスクリームを売り始めたのだ。本当にこのアイスクリームがみんなに気に入ってもらえるのかどうかを確かめたかったからだ。

写真:同社HPより

そこからは絵に描いたような成功への道を、フィッシャーはたどっている。この珍しいBrrr機と新鮮なフレーバーに行列ができ、そのうち投資家も現れた。2011年にサンフランシスコ市内のヒップな場所に開いた最初の店には、いつも人だかりが。現在は、カリフォルニア北部やシリコンバレーに4店を構えるほどに拡大している。

シリコンバレーやサンフランシスコは、新しい食の中心地になっているが、人々は従来と同じものではなく、テクノロジーやアプローチにイノベーションを求めている。

その意味で、スミッテン・アイスクリームは、古くからあるみんなのスイーツをイノベーションで変えた。人々が心から探していたものに、ぴったりとした回答を与えたのだと言える。

瀧口 範子 ジャーナリスト

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たきぐち のりこ / Noriko Takiguchi

フリーランスの編集者・ジャーナリスト。シリコンバレー在住。テクノロジー、ビジネス、政治、文化、社会一般に関する記事を新聞、雑誌に幅広く寄稿する。著書に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか? 世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』『行動主義:レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家:伊東豊雄・観察記』、訳書に『ソフトウェアの達人たち:認知科学からのアプローチ』(テリー・ウィノグラード編著)、『独裁体制から民主主義へ:権力に対抗するための教科書』(ジーン・シャープ著)などがある。

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