シェアが急伸!レノボ・NEC「二刀流」戦略の破壊力 同じグループ内で正反対のものづくりを追求
レノボ・ジャパンが首位を獲得した最大の要因は、政府主導により小中学校に1人1台環境を整備したGIGAスクール構想において、圧倒的ともいえる強みをみせたからだ。
GIGAスクール構想によって、日本の教育現場に導入されたパソコンは、1年間だけで約800万台に達したとみられ、世界中を見回してもこれまでに例がないほどの特需だった。レノボは、この領域において、他社を圧倒している。その理由は3つある。
1つ目は、いち早く「GIGAスクールパック」を商品化したことだ。レノボ・ジャパンは、2020年3月3日に、他社に先駆けて「GIGAスクールパック」を発表。同構想に準拠した仕様のレノボブランドのパソコンに、NTTコミュニケーションズのクラウド型教育プラットフォーム「まなびポケット」、東京書籍の学校用プログラミング教材「みんなでプログラミング」などをセットにして、4万4990円で発売した。政府による補助が1台あたり4万5000円であり、それに収まるパッケージを用意した点が受けた。
日本への供給量を積極的に増やした
2つ目は、教育分野向けパソコンとして、Chromebook(クロームブック)に着目した点だ。日本ではほとんど存在感がなかったクロームブックだが、セキュリティ環境を自動でアップデートしたり、クラウド上にデータを保存できたりといった安全性や管理性に優れた点が、海外の教育機関で評価され、導入が進んでいた。そのことを背景に、日本でも導入が進むと予測。製品ラインアップを強化し、教育分野向けには、Windowsを超える台数を供給してみせた。
そして、3つ目にはこうした旺盛な需要に応えることができる供給量を確保したことだ。コロナ禍において、パソコンの需要は増加したものの、半導体の慢性的な品不足、サプライチェーンの分断による部品調達の遅れなどにより、パソコンの安定的な供給が難しい1年だったが、レノボ・ジャパンでは日本向けの製品を大量に確保。結果として、前年比1.7倍のパソコンを日本に送り込んだ。他の外資系パソコンメーカーが前年の9割程度のパソコンしか日本市場に供給できなかったのとは大きな差がついた。
レノボ・ジャパンとNECパーソナルコンピュータの社長を務めるデビット・ベネット社長は、「GIGAスクールパックは、2019年夏時点から準備を開始し、2019年12月に閣議決定したのにあわせて、一気にアクセルを踏んだ。本社にも、日本市場向けに、多くのパソコンを回してもらえるように交渉した」と語る。
政府は、当初3年間で整備する計画を、1年間で整備する計画へと修正。レノボ・ジャパンは、この動きを捉えて日本への供給量をさらに増やした。
レノボ本社が、日本市場に対するパソコンの供給を優先したのは、ベネット社長が就任した3年前から、日本の教育市場を重点分野に位置づけて、事業体制を強化してきたことに加えて、レノボにおける日本の存在感が、これまで以上に高まっている点が見逃せない。
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