シェアが急伸!レノボ・NEC「二刀流」戦略の破壊力 同じグループ内で正反対のものづくりを追求

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レノボグループでは、2020年度(2021年3月期)の決算発表では、日本の業績も初めて公開した。これによると、日本市場での売上高は67億8000万ドル(約7500億円)。中国、アメリカに続いて、全世界で3位の売り上げ規模になっており、グローバル全体の約11%の売上高を日本が占めた。レノボグループ全体での成長率は20%増だったが、日本での成長率はそれを大きく上回っているという。

世界ナンバーワンシェアを持つレノボの調達力と生産力の強みが、そのまま日本市場に向けられた格好であり、これがなかったら、2021年3月までに96.5%の整備が完了した日本のGIGAスクール構想は、そこまでの整備率に至っていなかったかもしれない。ある意味、GIGAスクール構想の実現は、レノボが支えたともいえる。

レノボブランドのパソコンは、グローバルモデルとして、価格競争力を持ったモノづくりが得意であるのに対して、NECパーソナルコンピュータは、日本のニーズに合致した付加価値モデルのモノづくりを得意する。レノボとは正反対のモノづくりであり、この2つのモノづくりを実現しているメーカーはほかにない。

グローバルモデルと、ローカルモデルを展開する、まさに「二刀流」である。調達力と大量生産の強みを生かしたことで、GIGAスクール構想の需要に応えたのがレノボブランドのパソコンだった。

NECブランドのパソコンはテレワーク需要に威力

それに対して、付加価値モデルのNECブランドのパソコンは、2020年度のもう1つの特需となったテレワークへの対応で威力を発揮した。

コロナ禍では、政府や地方自治体により、在宅勤務が推奨され、テレワークが一気に進展。2020年度前半には、量販店店頭ではパソコンが品薄になるといった状況が生まれた。この市場において、最も売れたのがNECブランドのパソコンであった。

日本において最も売れ筋のノートパソコンは、15型液晶ディスプレイを搭載し、DVDドライブなどを内蔵した、いわば「全部入りモデル」である。これは日本のパソコンメーカーが得意とする分野であり、NECはそのリーダー的存在だ。

さらに、テレワーク需要が本格化するのにあわせて、ミーティング機能などの搭載により、音が聞こえやすく、周りの雑音を拾わずに相手に聞こえやすくするといったオンライン会議に最適な独自機能を搭載。キーボードのタイピングを静音化したり、ノートパソコンでは持ち歩くために軽量化したり、カフェやシェアオフィスでの利用時にも、後ろからのぞき見されないための機能を搭載するなど、日本のテレワーク環境を強く意識した機能強化を図った点が受けた。

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