法人税率「最低15%」の国際基準が議論される意味 G7が合意、実現すれば「地殻変動」起こるのか?
ちなみに、同じくIMFがこの4月に発表した、世界の「政府総債務残高(対GDP比)」のランキングによると、ワースト5は次のようになる。
②スーダン…… 262.52%
③日本…… 256.22%
④ギリシャ…… 213.10%
⑤エリトリア…… 184.70%
ちなみに、アメリカは127.11%と今回のコロナで大幅に増えたと言われているが、日本と比べればまだまだ小さい。中国などは対GDP比で66.83%しかない。
どちらにしても、今回のパンデミックは財政的に脆弱な国はより大きなダメージを受けることになった。今回の課税ルール変更で、国際的に活動するコングロマリットに対して、法人税率をほかの国より引き下げることで海外からの投資を増やそうという課税スタンスは衰退し、売り上げを上げた国できちんと法人税を納めることができれば、財政難に悩む国にとっては大きな追い風になる。
バイデン政権が仕掛けた最低法人税率15%という国際課税ルールの変更は、大きな意味を持つことになるはずだ。今回、売り上げを上げた国や地域に納税を固定させる共同声明が出されており、これまで有利な租税条約を結び続けてきたアメリカのIT企業は、苦境に立たされる可能性もある。共同声明の国際課税ルール部分は次のような表現となっている。
●15%以上の最低税率を目指す
●7月のG20の「財務省・中央銀行総会」での合意を目指す
適正な税務スタイル確立なるか
今回の共同声明が実現すれば、これまでのビジネススタイルが根底から覆されることになるわけだが、少なくともグーグルやフェイスブックは、今回の共同声明には歓迎のコメントを発表している。これまで、デジタルビジネスに対する適正な国際課税ルールはなかった。きちんとルールが整備されれば、適正な税務スタイルが確立されるというわけだ。
実際に、現地納税で15%の最低税率が世界的に同意されれば、イノベーションの勢いはやや遅れるかもしれないが、財政赤字に苦しむ世界中の国々が、強固な税収入の道を開けることとなり、その効果は極めて大きいはずだ。
わずかな人間が富の大半を牛耳る貧困格差も少しは緩和されるかもしれない。民主主義を守れるかどうかの試金石ともいわれる「法人税率最低基準」の設定。その意味は極めて大きい。
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