東京圏外へ移住で「最大100万円」賢く使う支援金 複雑だけどしっかり押さえたい支援の中身

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また、「地域連携型」は、子育て世帯や地方移住者等に対する積極的な取り組みを行う地方公共団体と住宅金融支援機構が連携し、住宅取得に対する地方公共団体による補助金交付などの支援とあわせて、【フラット35】の借入金利を当初5年間、年0.25%(2022年3月31日までの場合)引き下げる制度です。

利用できる地方公共団体の事業(対象となる条件)は、各地方公共団体が地域の実績を踏まえて個別に定めており、例としては「子育て世帯の住宅取得」「UIJターンを契機にした住宅購入」「居住誘導地区への移住」「空き家の取得」「防災・減災対策に資する住宅の取得」などがあります。

地方自治体によって対象の事業が異なるため、ご自身が要件にあてはまるかをまずは確認してみましょう。また、利用にあたっては、地方公共団体から「【フラット35】地域連携型利用対象証明書」の交付を受けることが必要です。

フラット35のサイトにまずアクセスし、住宅金融支援機構と連携する地方公共団体の中から移住先の都道府県を検索し、リンク先にある連携市町一覧の最新版から、移住先の市町を調べます。「UIJターンを契機にした住宅購入」など、ご自身のシチュエーションにあった連携に○がついているかのチェックすることが最初の一歩です。

事前の確認・相談は必須

さらに、自治体ではまちづくり施策にのっとった住まいの要件(例えば、居住部の面積が戸建てで75㎡以上など)を設けており、その条件をクリアした住まいであることが必要です。

そのため、連携市町一覧にある「問い合わせ先」に、利用を検討している旨を伝えて事前に照会しておくと安心です。また、家の性能として、住宅の耐久性などの【フラット35】の技術基準やその他の融資基準を満たす必要がある点は理解しておきたいところです。

なお、地方公共団体が実施する住宅支援制度を受けるためには、住まいの着工前(確認申請前)に地方公共団体への申込みが必要とされているところが一般的です。そのため、移住に合わせて【フラット35】で家を購入するには、事前の地方公共団体への相談は必須で、所在地・仕様なども条件に当てはまるように慎重に進める必要があります。

したがって、UIJターンを契機とした住宅購入の希望がある場合は、移住前から地方公共団体のマッチングサイトで仕事を探す一方で、移住後の住まいについても自治体に相談し、フラット35の「地方移住支援型」や「地域連携型」が使える住所地や物件を割り出すといった計画性も必要です。

今年は13年の住宅ローン控除も継続しており、住宅の取得を検討している人には税制優遇の追い風が吹いています。地方でのいい住まいとの出合いのために、本記事が移住前にするべき・検討すべき事柄の整理に役立てば幸いです。

竹下 さくら ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士

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たけした さくら / Sakura Takeshita

兵庫県神戸市生まれ。慶應義塾大学商学部にて保険学を専攻。損害保険会社の営業推進部および火災新種業務部、生命保険会社の引受診査部門の勤務を経てファイナンシャルプランナーとして独立。個人向けコンサルティングを主軸に講演・執筆を行う。『「奨学金」を借りる前にゼッタイ読んでおく本』(青春出版社)、『「家を買おうかな」と思ったときにまず読む本』(日本経済新聞出版社)など著書も多数。

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