客の罵声で病む「コールセンター」コロナ禍の地獄 非正規の女性労働者が打ち明ける現場の実態
コールセンターでは、外部からの理不尽クレームだけでなく、内側からのパワハラも珍しくないという。時給は1500円だったが、交通費はなし。高橋さんもほどなく見切りをつけた。
「頑張ると言っていた知人も、胃潰瘍になって1カ月しかもちませんでした」というから、その過酷さがうかがえる。
「精神的なケア」ほしかった
コロナ関係のコールセンターで勤務してみて、高橋さんは次のように話す。
「なんでもオペレーター任せにするのではなく、酷いときは上の人が対応してほしい。理不尽な暴言を吐かれても、相手が悪かったのだと確信できず、自分の対応に問題があったのではと感じてしまう。精神的なケアであるとか、フィードバックをもう少し細やかにやってもらえたら…」
個人加入できる労働組合「総合サポートユニオン」の青木耕太郎さんはこの1年、コールセンターで働く人の相談を数多く受けて来た。
「ネットの誹謗中傷と一緒で、コールセンターは元々、相手と顔を合わせていない分、言葉が強くなりやすい面があります。しかも、コロナ関連のコールセンターは、ほとんど蓄積がなく、急造でやっているため、オペレーターと相談者がぶつからざるを得ない」
もともとコールセンターは理不尽なクレームを受けやすい職場だが、今回は相手が切羽詰まっていたり、センターの体制が不十分だったりすることから、労働者が受けるストレスがより深刻化している。
「暴言を吐く相談者は確かにいますが、労働者とクレーマーという対立構造で考えるのではなく、なぜ対立構造ができるのか、という視点が必要だと思います。雇用主による労働者へのフォロー体制の不備はもちろん、国がコロナ関連の窓口を民間に『丸投げ』しており現場の疲弊をきちんと把握し対処していないことが問題だと思います」
(文=編集部・園田昌也)