客の罵声で病む「コールセンター」コロナ禍の地獄 非正規の女性労働者が打ち明ける現場の実態
オペレーターは女性比率が高いのですが、高圧的な態度をとられやすい気はしますね。男性のSV(スーパーバイザー/現場監督)が電話を代わってくれると、トーンダウンすることも多いんですが…。ここでは滅多に代わってくれませんでした」
「現場監督」と言っても、この職場ではSVも派遣社員だったという。
ぶつけられる感情は「怒り」だけじゃない
もちろん、女性から怒鳴られることもある。
「お孫さんが持続化給付金の不正受給をしていたみたいで、返還の手続をしたいと。こちらが警察との連携が必要で、時間がかかると言っても『なんで早く対応しない』と1時間半くらい怒鳴られました」
こうした顧客からの暴言や無理難題、いわゆる「カスタマーハラスメント(カスハラ)」的な内容であっても、電話を切ってはならないとされているため、オペレーターは疲弊していく。
「メンタルに来るのは直接的な暴言だけではないんです。自分が一番こたえたのは、年配の男性経営者の『給付金が入らないと死ぬしかないんだよ』という切実な電話でした。これはずっと記憶に残っています」
このほか、コロナ政策への批判を聞かされたこともあるという。これで時給は1450円。
「時給自体は良いのだけど、それでも割に合わなかったですね。ただ、当時は緊急事態宣言で派遣の仕事がなくなったので、辞めるわけにいかなかったんです」
高橋さんは秋になって、GoToトラベル関係のコールセンターで働くことになった。ただ、この仕事には研修段階で違和感があったという。
「想定問答集がしっかりしていませんでした。マニュアルも100ページほどあったのですが、研修は2日だけ。とてもじゃないけれど、全部は目を通せない。見切り発車で始めたキャンペーンなんだなと思いました」
勤務中に余裕があれば、空いた時間で自習することもできるだろうが、ひっきりなしに電話がかかってくれば、それもかなわない。
研修のときには10人ほどいた同期も、次の日にはおよそ半分になっていたという。
「入電対応が始まり、SVにサポートを頼んでも、人によって回答が違ったり、放置されたりしました。分からないのはオペレーターの勉強不足だとバカにするような人も多く、雰囲気がすごく悪かったです」