統合失調症は「一生苦しむ病気」と思う人の勘違い 時代を経て「コントロールできる病」に変化した

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また興奮などを抑制する鎮静作用の強い従来型と違って、非定形向精神薬は統合失調症の「陰性症状」(意欲の欠如、感情の平板化、自閉)などにも効果があるのも特徴です。

以前はうつろな状態だった患者さんにも陰性症状が改善し、生気を取り戻した結果、無事退院できた方も多くいます。

実際、統合失調症の入院患者の平均在院日数も30年前と比べて約半分にまで減っています。副作用が少ないということは、外来治療(通院治療)が可能になるということもでもあります。

もはや統合失調症=一生苦しむ病気、長い入院生活を余儀なくされるといったイメージは過去のもの。現在は外来通院しながら、一般的な社会生活を送る人もいますし、結婚して子供を育てる人も多くいます。

すでに「コントロールできる病気」に

実はうつ病の人と統合失調症の人の数はさほど変わりません。前者は100万人、後者は80万人ほど。にも関わらず、後者の人にあまり馴染みを感じないのはなぜでしょう?

おそらく薬を飲んだ結果、社会生活を営めるようになったことが大きいでしょう。また、最近はメンタルクリニックが駅前などに増えているため、昔よりも精神科に行きやすい雰囲気も醸成されてきており、統合失調症もごく初期の段階で受診される方が多いです。当然、早期に受診すれば、それだけ寛解(症状が消えて安定した状態)にも至りやすい。

また、2002年8月から日本精神神経学会において「精神分裂病」という病名が廃止され、今の「統合失調症」に変更されました。この病名変更も、差別や偏見の軽減に大きく役立ったと考えられています。

まだまだ精神医療については問題があることは事実ですが、20〜30年前と比べると天国と地獄ほどの差があります。もしかつてのネガティブな印象が改善されていなければ、精神科への受診を遠慮して病状をさらに悪化させる患者が今も多くいたことでしょう。

このように統合失調症は時代を経て、「不治の病」から「コントロールできる病気」に、「退院できない病気」から「普通に社会生活を送れる病気」へと変化していきました。

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