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恐るべき浸透度「キャッシュレス決済」の落とし穴 「QRコード決済」を好む人は狙われがち?

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人はいったん手に入れたものを失うのはもったいないと感じる、と先に書いた。それに加えて、今受けているサービスをやめるのがめんどくさい、快適な生活を変えたくないとの現状維持心理が働く。しかも、支払いはカードなどのキャッシュレス決済だ。「さあ、これからお金払いますよ」とは言わず、勝手に決済してくれる。まさに、見えないステルス消費だ。

もうひとつのステルス消費は、これもキャッシュレスならではのオートチャージ。

ICカードもスマホ決済アプリも、その設定をすれば残高が一定以下になったら親切にチャージをしてくれる。ということは、いくら使っても「残高が足りません」と止められることなく、それこそ無意識の支払いを続けてしまう。

チャージ元としてクレジットカードを紐づけている場合は、利用明細に「オートチャージ」としか表示されないので、結局何に使った支払いだったかはそれだけ見てもわからない。スマホ決済の中には銀行口座からのオートチャージができるアプリがあるが、もしどんどん決済していけば、口座残高もどんどん減っていくわけだ。

使った意識もないまま、ふと口座残高を確認したら激減していた――としたらこれほどぎょっとすることはない。消費はステルス、そしてじわじわ残高を食い尽くす、まさにシロアリ支出そのものではないか。

利用データから消費喚起につなげるあの手この手

国が進めるキャッシュレス化は、個人の購買データを利活用し、さらなる消費喚起につなげるためのものでもある。以前あるアプリの話を聞いた。
一見よくあるスーパーのポイントカードアプリで、レジで提示するとポイントが付く。レジを通すたびに、アプリの会員IDに紐づいて、購入した商品データがどんどん蓄積されていく。

ただ、ユニークなのは、買ったもののデータを基に栄養士のアドバイスが受けられ、足りない栄養素などを提案してくれるという点。健康意識の高い客は、次回の買い物で「足りない」といわれた食品を購入するだろう。客にとっては健康アドバイスが受けられ、店側は普段なら買わない上乗せの消費を期待できる。消費者にメリットを感じさせつつ売り上げも上がる、なかなかの仕組みではないか。

また、別のところで聞いた話だが、スマホ決済アプリなどの購入データを10年単位で蓄積していくことで、その人の将来の生活状況が推測できるようになるという。例えば、食事は外食あるいはコンビニの弁当をよく買っているとか、歩数アプリから日ごろあまり歩いていないとか、そういう生活習慣からAI判定をすれば、かなりの精度で将来の健康リスクも割り出せるのではないか。それを基に医療保険をお勧めするというビジネスも考えられるわけだ。

デジタル社会とともに、ポイント還元などの魅力もあるキャッシュレス決済は今後より深く浸透していくだろう。ただし、われわれは利用データを差し出した見返りに、そのメリットを受けているという意識はどこかで持っていたほうがいい。

加えて、必要がなかった消費に誘導されていないか、払った意識がないまま使いすぎていないか、改めて確認することも大事だ。その管理はアカウントとパスワードを知る自分自身にしかできないだから。

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