マツダ初EV「MX-30」、なぜ日本では売れない? HV技術がなく、EV戦略での遅れや焦りが要因か

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MX-30・EVモデルのエクステリア(写真:マツダ)

アメリカでは、1990年代からZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル)法が動き出し、中国でもZEVを後追いするNEV(ニュー・エナジー・ヴィークル)の取り組みがはじまった。それでもなお、マツダはエンジンで何とかしようと考えていた節がある。もちろん、経営計画のなかに電動化の項目は入れられていた。しかし、エンジンで稼げるうちは引き延ばしたいとの思惑があったはずだ。

ところがいよいよCO2排出量規制やZEV法、NEV規制が本格運用されると、違反金(クレジット)の支払いが経営を苦しめはじめるのだ。そこはトヨタも同じだ。

そこでマツダは、単に既存の車種をEV化するのではなく、あるいは人気のSUVをただEV化するのでもなく、新たな価値の創造のなかにEVを入れ込もうとした。だが、蓋を開けてみれば、販売店への急速充電器の設置は進まず、ヴィークル・トゥ・ホーム(V to H)やEV利用後のリチウムイオンバッテリー再利用も研究の半ばであり、肝心の商品は、EVの利点を伸ばすより、エンジン車の乗り味を模した特性とした。

MX-30からはじまったマツダEVの未来は?

MX-30のスケルトンモデル(写真:マツダ)

EVの本質を呑み込めないまま戦略が後手に回っていることは否めない。日産は、初代リーフの発売前にリチウムイオンバッテリー再利用の会社を設立し、未来を予測した。急速充電器を自ら開発し、原価を半減させて充電基盤整備を後押しした。

MX-30の開発責任者は、「いまの姿がマツダのEVの将来を確定するものではなく、これから育てていきたい」と、継続的意欲を述べている。

マツダが輝くには、EVを待ちわびる消費者の声に耳を傾けるとともに、SKYACTIVで見せた本質とは何かをEVで深掘することが求められる。ロータリーエンジンを発電用動力とするレンジエクステンダーを装備したEVのMX-30が登場するこの秋には、さらに進化した成果を見せてほしい。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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