70歳の池上彰がYouTuberデビューした納得の訳 発案からスタートまで2週間でチャンネル開設

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増田:私たちのYouTubeは「教育」というジャンルでスタートしました。教育にこだわったのは2020年3月の学校閉鎖措置で、授業が受けられなくなった子どもたちに、私たちのYouTubeで学んでほしいという動機がありましたよね。

池上:活動の中心が、書籍や新聞、雑誌、テレビというのがオレたちだけど、どうしても50代以上の人が読者や視聴者になる傾向がある。YouTubeはそれにくらべ視聴者層がかなり若い。特に中高校生にこの動画を見てもらって、日本では関心が薄いと言われるヨーロッパなどの海外のニュースにも触れてもらえたら、という思いもあった。日本国内で報道番組が増えているとはとても言えないし、その中でもアメリカ、中国、韓国や北朝鮮以外の海外ニュースはどうしても手薄になっている。

増田:YouTube学園をどんな方たちが見ているのか登録者から判断すると、30〜40代の男性が中心で、10代もけっこういました。この年齢層はテレビをあまり見ないと言われている層なのですが、私たちの動画が、日々世界で起きていることに興味を持つきっかけになってくれればうれしいですね。

発案からスタートまで2週間でチャンネル開設

増田:池上さんからYouTubeをやろうという提案があり、出版社と動画制作会社も制作チームに入ってもらって、2020年6月中旬からYouTube学園が始まりました。発案からチャンネル開始まで、実に2週間の出来事でしたね。

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池上:のちに、オレが長年一緒に仕事をしてきたリサーチャー兼校正者と、美術担当者もチームに入ってもらい、今のYouTube学園の制作チームになったよね。メイン動画の収録はカメラや音声スタッフもいるけど、企画会議やZoomを使った撮って出しの日々のニュース解説(Zoomホームルーム)は、5名程度の少人数で進行している。

増田:テレビと比較すると、ずいぶん小規模ですよね。最近徐々に、自分が発信するメディアなんだという実感が出てきています。

池上:チャンネルの開設前は、コロナ禍で学校に行けない子どもたちに向けて授業したいという思いだったけど、今はもっと多くの人に向けて、自分の伝えたいことを伝える場にしていきたいと思っているんだよね。

増田:私たちだからできること、にこだわりたいんですよね。

池上 彰 ジャーナリスト

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いけがみ あきら / Akira Ikegami

1950年、長野県生まれ。1973年慶応義塾大学卒業後NHK入局。ロッキード事件、日航ジャンボ機墜落事故など取材経験を重ね、後にキャスターも担当。1994~2005年「週刊こどもニュース」でお父さん役を務めた。2005年より、フリージャーナリストとして多方面で活躍中。東京工業大学リベラルアーツセンター教授を経て、現在、東京工業大学特命教授。名城大学教授。2013年、第5回伊丹十三賞受賞。2016年、第64回菊池寛賞受賞(テレビ東京選挙特番チームと共同受賞)。著書に『伝える力』 (PHPビジネス新書)、『おとなの教養』(NHK出版新書)、『そうだったのか!現代史』(集英社文庫)、『世界を動かす巨人たち〈政治家編〉』(集英社新書)など。

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増田 ユリヤ ジャーナリスト

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ますだ ゆりや / Yuriya Masuda

1964年、神奈川県生まれ。27年にわたり、高校で世界史・日本史・現代社会を教えながら、NHKラジオ・テレビのリポーターを務めた。テレビ朝日系列「大下容子ワイド!スクランブル」でコメンテーターとして活躍。著書に『揺れる移民大国フランス』『世界を救うmRNAワクチンの開発者カタリン・カリコ』など多数ある。また池上彰氏との共著に『歴史と宗教がわかる!世界の歩き方』などがある。「池上彰と増田ユリヤのYouTube学園」でもニュースや歴史をわかりやすく解説している。

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