東芝公表の「調査報告書」は結局、何が争点なのか 6月25日に開かれる定時株主総会は大荒れ必至

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調査の発端は、株主であるエフィッシモが、昨年の定時株主総会の運営について、独立した第三者委員会による調査を求めたのに対し、東芝が応じなかったことです。そこで、エフィッシモら株主が東芝に対して臨時株主総会の招集を請求し、今年3月18日に臨時株主総会が開かれていました。

議決権の3%以上の株式を一定期間以上保有している株主は、会社法の規定により、臨時の株主総会の招集を求めることができます。そして、この臨時の株主総会においては、その決議によって、株式会社の業務や財産状況の調査者を選任することができます。

今回、調査者として選ばれたのは、前田陽司氏、木﨑孝氏、中村隆夫氏の3人の弁護士です。そのほかに12人の弁護士が補助者に起用されました。

調査者と補助者の弁護士は、東芝ともエフィッシモら調査を求めた株主とも利害関係がありません。調査費用についても、社会通念上合理的な範囲で東芝が支給し、東芝が支給を拒否する場合はエフィッシモがその不足分を補償する、という取り決めになっていました。

近年、不祥事が発覚した際に第三者委員会が設置されるケースが増えていますが、多くの場合は会社経営陣からの依頼に基づくものですので独立性の点でやや疑問があります。

これに対して、今回の東芝の調査は、株主総会で株主の意思に基づき決定した調査であり、調査者の独立性も確保されているので、東芝としても「株主側が選んだ弁護士が勝手に言っているだけだ」と突っぱねるわけにはいかないのです。

会社法上の問題点とは?

では、調査の対象となった株主総会が公正に運営されなかったとしたら、どうなるのでしょうか。

まずは、会社法の規定を見てみます。株主総会の決議の効力について、会社法は、株主総会の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なときは、株主は株主総会決議取り消しの訴えを起こすことができると定めています(会社法831条1項1号)。株主総会が公正に運営されていないとすれば、これに該当しそうです。

ただし、株主総会決議取り消しの訴えは、問題となった株主総会決議の日から3カ月以内に裁判を起こさなければなりません。今回は、問題となった2020年7月31日の株主総会の日からすでに3カ月が経過していますから、株主総会決議取り消しの訴えを起こすことはできません。

次に、役員と株式会社との関係を定めた規定があります。株式会社と取締役・執行役とは委任関係にあり(会社法330条、402条3項)、取締役・執行役は業務執行に当たり、善管注意義務(民法644条)を負っています。善管注意義務とは、委任を受けた人の能力などを踏まえて通常期待される程度の注意義務のことをいいます。

取締役や執行役といった役員などが善管注意義務に違反した場合には、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負います(会社法423条1項)。株式会社が退任した役員などに対して責任追及をすることがありますが、その場合の根拠がこの条文です。

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