競馬である。
前述したとおり、サラブレッドの価格は日本においては値上がりを続けている。それどころか、日本が誇るべき世界一物価上昇率の高い、珍しい、もしかしたら唯一の財であるかもしれない。
その理由のひとつは、日本が誇るディープインパクトが偉大すぎたため、同産駒を何が何でもほしい、という人が世界にあふれたからであり、ディープの死(2019年7月30日)とともに、このマーケットの高騰はクライマックスを迎えた。
スノーフォールが凱旋門賞で勝てば「悲願達成」?
実際、この5月には英国オークスでディープインパクト産駒のスノーフォール(Snowfall)が16馬身差というレース史上最大の着差で圧勝した。現時点のブックメーカーのオッズでは、今年の凱旋門賞(10月3日)の1番人気に躍り出た。
これは、1990年に愚かにも、アメリカ競馬界が、同国の至宝となるはずだったサンデーサイレンスを、日本の社台ファームの吉田善哉氏(故人)にたった1100万ドルで売ってしまったことから始まった。世界の競馬地図の塗り替えの歴史の幕開けであった。
日本人がサラブレッドにはケチでないのか、吉田善哉氏が素晴らしいのか、それはともかく、日本は、その後、圧倒的に世界一の馬産国となった。
しかし、それでも凱旋門賞はまだ勝っていない。これが日本の競馬界の悲願である。
では、今年、彼女、スノーフォールが勝てば、本当に日本の悲願が達成されるのだろうか。
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