日本でも今後「ひどいインフレ」がやって来るのか そもそもインフレはどうやったら起きるのか?

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そうではない。確かにディープインパクトの偉業ではあるが、むしろ日本の恥である。つまり、スノーフォールは欧州で育った馬であり、日本調教馬ではないのである。つまり、日本の馬ではなく、調教がなされているアイルランドの馬なのである。

ディープインパクトという、世界で圧倒的に格上の種馬がおり、その産駒が多数いるのに、日本で育てた馬では、1頭も凱旋門を勝っていない。そういう馬を育てられない日本競馬界ということになってしまうのである。

これは、一因としては馬場のせいだ。日本の競馬は軽いスピード最優先で、力の要る、底力を振り絞るようなレースにならない。そういう環境では、凱旋門賞を勝つような馬は育たないのである。

ディープインパクト「本人」(本馬)も、凱旋門賞では負けた(記録は失格)。それは走法など、欧州の馬場にあった競馬ができるように育っていないからである。日本は日本でいい、という考え方もあるが、そうではない。競馬産業は、馬を世界に売る産業である。世界中に、日本血統の馬を広め、歴史にも、血脈にも残していくことが使命である。そのためには、凱旋門賞を勝つことはひとつの通過点に過ぎないが、それもできないようでは、絶望的である。

新潟競馬場も「洋芝」に改修を

そこで、私は7月に開幕する新潟競馬場も、函館や札幌のような、いわゆる洋芝の馬場に改修することを提案したい。

新潟は「千直」と呼ばれる、直線だけの1000メートルのレースがある。
短距離に見えて、最初から最後まで、全力で走ることを求められる、非常にタフでスタミナを要求されるレースなのだ。

しかし、新潟は今のところ高速馬場で、底力は要求されない。そして何より、馬場の内側と外側での有利不利があまりに極端で、外枠の馬が常に勝ってしまう。これを解消することも兼ねて、新潟競馬場のコースの大規模改修を提案したい。

さて予想のほうは、この週末に開幕する札幌のメイン競争「函館スプリントステークス」(6月13日の第11レース、芝1200メートル、G3)。例年は函館で行われるのだが、今年は札幌で開催される。このレースでは人気のカレンモエではなく、スタミナのあるミッキーブリランテ。

一方、東京のほうは、英国オークスが行われたエプソム競馬場にちなんだエプソムカップ(同日の第11レース、芝1800メートル、G3)。例年は4歳馬が強いレースである。だが、ここは7歳馬だが脚元が弱いために、多くのレースを走っておらず、馬体は4歳並みにフレッシュなセダブリランテス。どちらも単勝。

小幡 績 慶應義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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