一般にインフレであれば、名目から実質、金融資産から実物資産へポートフォリオを変更すればよい。それで、インフレによる実質ベースでの目減りを抑えることができ、実際に、実物資産、つまり、株式や不動産は価格が上昇する。
一方、金融引き締めによる利子率の上昇では、すべての資産の利回りが上昇する必要があり、そのためには資産価格が下落しないと辻褄が合わないから、すべての投資資産の価格が下落することになる。だから、利上げをすべての投資家が恐れることになる。
供給不足で生じるインフレの特徴とは?
第2のインフレは、供給不足により生じるものである。2011年の東日本震災でも、日本はインフラや工場、漁港、農地などが壊滅的な打撃を受けたことから、さまざまなものが供給できなくなった。それらの物資は高騰した。需要と供給のバランスが崩れ、需要超過からインフレになるのは、第1のインフレと同一だが、その原因が異なる。第1のインフレをデマンドプル型、第2のものをコストプッシュ型と分類する。
このコストプッシュ型にも、災害により供給能力が消失した場合などと、人手不足により賃金を引き上げないと労働力が確保できない場合などの要因による違いがある。
コストプッシュ型のうち、前者は、供給能力が再構築されれば、需給バランスは解消し、インフレも収まるので、一時的な供給制約によるものと考えられ、インフレはそれほど大きな問題ではない。何よりも復興して、経済だけでなく社会を戻すことが課題である。
一方、後者の場合だが、ここで日本の場合は、労働力を何とかしてどこかからつれて来て、場合によっては、輸入してしのごうとするのが経済界の古い体質、新しい現実を受け入れない悪癖である。普通は、賃金を上げてインフレを甘受する。
つまりインフレは解決できないが、解決すべき問題ではなくなり、新しい環境として受け入れる。そして、それよりも本質的な問題である「そもそも人がいない」というなかで、ビジネスモデルを変え、新しい社会のあり方を試行錯誤で模索する、というより重要な社会の問題に向き合うべきである。
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