「半蔵門線」新車に見る東京メトロの車両開発戦略 東急、東武との共通化はどの程度重視される?

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半蔵門線区間を走る列車は東京メトロの車両だけでない。東急の新型2020系のほか、5000系、8500系、東武の50000系などさまざまな列車が走行する。そのため、東京メトロの運転士はそれぞれの車両について習熟する必要がある。東急や東武の運転士も同様だ。

「レバーや計器の配置は各車両である程度そろえているが、完全に一致しているわけではない」と東京メトロの別の担当者は話す。各社の運転士はどの列車でも同じように運転できるようにしておく必要がある。8月の営業運転開始に備え、18000系は東急や東武の運転士も乗車して訓練を行っている。

車両の完全共通化は難しい?

新幹線ではJR東海とJR西日本がN700S、N700Aといった同じ車両で東海道・山陽新幹線の区間を直通運転する。東京メトロ、東急、東武が共同でまったく同じの車両を開発すれば、効率的に運行できそうな気もするが、そう簡単ではないらしい。「車両は30〜40年使うので、各社が同じタイミングで新車両を導入できるかどうか」。

日比谷線の13000系。乗り入れ先の東武鉄道70000系と外観は異なるが仕様は共通部分が多い(撮影:尾形文繁)

タイミングの違いだけではない。相互乗り入れする会社がまったく同じ車両を造ると、今度は逆にその会社の従来の車両と保守プロセスが変わってしまうため、効率面でマイナスになる面もある。そのため、新型車両の開発に際しては、乗り入れ協定の範囲を遵守すれば、あとは各社で作り込んでよいという。

日比谷線に直通する東武鉄道の70000系。東京メトロの13000系と多くの部分で仕様を共通化した(撮影:尾形文繁)

日比谷線と伊勢崎線を相互直通運行する東京メトロと東武の間で車両更新のタイミングが合致したことがある。このため、東京メトロと東武は見た目のデザインは異なるものの、多くの点で仕様が同一の車両を開発した。東京メトロの13000系、東武の70000系である(2017年4月8日付記事「東武の新型車両70000系は何が画期的なのか」)。

ただ、完全に仕様が共通化されたわけではなく、ドアの開閉システムなど一部で、東京メトロと東武の仕様が異なっている部分もある。どちらも近畿車両が製造している。

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