「半蔵門線」新車に見る東京メトロの車両開発戦略 東急、東武との共通化はどの程度重視される?
銀色のアルミボディに淡い紫色の縁取りがよく似合う。東京メトロが8月から半蔵門線に投入する新型車両18000系である。6月2日、東急田園都市線鷺沼駅近くにある東京メトロの車両管理所で報道陣に公開された。
現在営業運転をしている東京メトロの半蔵門線用車両は、同線の開業初期である1981年にデビューした8000系と、2003年運行開始の08系の2タイプがある。8000系のデビューから40年経つこともあり、新型車両への置き換えを決めた。
半蔵門線車両に必要な「高速安定性」
18000系の設計が始まったのは今から4年前の2017年8月。開発に際してどのような点が考慮されたのか。「高い加減速性能・曲線通過性能と同時に高速安定性能も求められた」と、東京メトロ車両部設計課の中村大樹課長補佐が話す。
半蔵門線は渋谷から先は東急田園都市線に、押上から先は東武伊勢崎線に乗り入れる。半蔵門線内は駅間が短いため、加速や減速を繰り返す必要がある。多くの電力が必要となるため、省エネ性能が重視される。また、地下の構造物を避けるためにカーブも多く、高い曲線通過性能が求められる。
一方で、東急、東武との相互直通運転区間は、半蔵門線とは逆に駅間が長いので高速安定性能が求められる。18000系の最高運転速度は時速110km。他社線への乗り入れがない銀座線2000系や丸ノ内線1000系の最高速度である時速80kmよりもずっと速い。
18000系は曲線通過性能と高速安定性能を両立させるため、それだけ台車にかかる負担が大きくなる。台車の各機構の最適な設計もさることながら、台車枠への亀裂発生を抑えるため、設計時の強度検証や溶接部の品質向上に力を入れたという。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら