「半蔵門線」新車に見る東京メトロの車両開発戦略 東急、東武との共通化はどの程度重視される?

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17000系と18000系のように東京メトロの内部で車両を共通化させていく動きと、東京メトロ13000系と東武70000系のように相互直通する会社同士が車両を共通化させていく動き。鉄道会社はどちらの方向に向かうのだろうか。「運転士の運転取り扱いや乗客サービスといった面は各社同士でよく話し合っており、共通化していくと思われる。いっぽうで車両の技術面は各社が独自に開発する」と、東京メトロ車両部設計課の荻野智久課長が話す。

銀座線の1000系。写真は開業時の車両を意識したデザインの特別仕様車だ(撮影:尾形文繁)
丸ノ内線の2000系。デザインはかつての車両を意識している(撮影:梅谷秀司)

東京メトロは2012年に銀座線、2019年には丸ノ内線にそれぞれ1000系、2000系という新型車両を導入している。両者ともに日本車両製造が製造している。銀座線、丸ノ内線は他社路線に乗り入れないということもあり、内装や外観にはかなりデザイン的な意匠が凝らされている。

両者とも外観はかつて走っていた車両に似せていることから懐かしさが感じられ、内装では貫通扉のガラス戸には沿線名所のイラストが描かれているのが楽しい。

一方で18000系は、外観のラインは半蔵門線のラインカラーである紫色だが、従来車両よりもやや薄くなった。「スタイリッシュさを追求した」(荻野課長)ためという。

カラーリングも進化する?

半蔵門線は渋谷、表参道といった若者が集う最先端の街から、江戸情緒が残る水天宮や清澄白河も走る。そのため、インテリアのイメージは「伝統と新しさが混じり合う沿線の街」を再現することだが、車内に沿線の特徴がひと目でわかるようなイラストは描かれていない。東急や東武の路線にも乗り入れることを意識したようだ。

なお、車内のカラーリングにもさまざまな色調の紫が使われており、座席のモケットの配色に従来の半蔵門線の紫が感じられる。

そういえば、17000系の外観に施されたラインカラーは、有楽町線のゴールドと副都心線のブラウンということになっているが、やはり従来車両の10000系とはゴールド、ブラウンの色合いが違う。

新たな車両開発には最新の技術がふんだんに取り入れられる。カラーリングも時代の空気を捉えて進化しているということだろう。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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