中部電力、「朝日裏金報道」の波紋 独走ぶりは吉田調書状態

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また、元役員は裏金を本店9階の秘書部で受け取り、同じ階の書庫にあるキャビネットに保管して出し入れしていたなどとする生々しい証言も22日付紙面に掲載された。

一連の報道に対し、中部電広報部は「そのような事実は承知していない。否定も肯定もできない」と回答した。元役員とは誰なのだろうか。朝日新聞が独走する「吉田調書状態」のため、東洋経済オンラインを含め、他社はまだ追及しきれていない状況だ。

料金値上げに大きな痛手

中部電OBに、ことの真相はどこにあるのかを聞いた。

「政治家への献金は、一時期からは会社からの献金ではなく個人献金とするために役員から集めているという話はあった。それ以前に裏金として扱われてきたかどうか。あったとしても扱ったのはごく一部の役員だろうから何とも言えない。公共事業の慣例として昔はどの会社でもあったのかもしれない。知事に渡ったところで何を意味するのかは分からない」

確かに、中部財界を率いる中電が、こうした慣例を長く行っていたであろうことは、想像に難くない。問題は、今回の一連の報道が、浜岡原発の再稼働に与える影響だろう。

「安全審査とは別問題なので浜岡の再稼働に影響は及ばないだろうが、電気料金値上げを強いられている消費者の感情は刺激する。中電がもし次の値上げを考えているとすれば大きな痛手であることは間違いない」

今になって、こうした話が表面化した背景に何があるのか。中電の今後の説明を待ちたい。

関口 威人 ジャーナリスト

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せきぐち たけと / Taketo Sekiguchi

中日新聞記者を経て2008年からフリー。名古屋を拠点に地方の目線で環境、防災、科学技術などの諸問題を追い掛けるジャーナリスト。1973年横浜市生まれ、早稲田大学大学院理工学研究科修了。

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