元高も限界、試され始めた中国の「双循環」政策

人民銀行の元高容認姿勢に変化、修正に向かう

中国人民銀行の元高容認の姿勢にも変化が出始めている(写真:Bloomberg)

為替市場ではドル相場の軟化が続いている。対ドルでの上昇がとりわけ目立つのは人民元とカナダドルで、ドル名目実効為替相場の下落はほぼこの2通貨によって引き起こされている。カナダは、年初にはG7において日本の次にワクチン接種で出遅れていたのだが、6月5日時点では1回でもワクチン接種を済ませた人口の比率が61.09%と、既に英国やアメリカを抜いた。経済情勢は好転し、これに伴って金融政策も緩和縮小へと舵を切った。ワクチン戦略の奏功によって動いた代表的な通貨との解説ができる。

片や、もう1つのドル安要因である人民元の上昇はどうか。昨年を通じて上昇の勢いは衰えず、今年に入ってからも騰勢を続けている。年明け後も対ドルで上昇を続けてきた人民元は5月26日時点で3年ぶりの元高ドル安水準をつけており、中国人民銀行(PBoC)も直後からこれを追認するような日中基準値の設定を行ってきた。

中国人民銀行が基準値を元安方向へ設定

しかし、5月31日、PBoCはドル/人民元の日中基準値を市場予想よりも元安水準に設定、同日には、市中銀行の外貨預金準備率を2%ポイント引き上げ7%にすると発表した。外貨預金準備率の引き上げは2007年以来である。その後、6月に入ってからも日中基準値は安値方向への設定が続いている。

また、5月30日には元PBoC幹部(調査統計局長)の「短期的な投機を反映したもので恐らく長続きしない」といった元高を牽制するような発言も報じられている。元高ドル安はちょうど1年前からの動きだが、3年ぶりの高値に達したところで、政府・中銀の通貨政策への姿勢にやや変化が生じ始めていることは間違いない。また、昨年来の元高ドル安はアメリカと中国の10年金利差に対応した動きであったが、4月以降は金利差とは無関係に元の騰勢が際立っている印象もある。

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