なぜか「5~6月は残虐事件が目立つ」謎と共通点 6月8日は池田小事件、秋葉原通り魔事件が発生

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登戸駅前でカリタス小学校の児童の列を襲った男(当時51)は、いわゆる“ひきこもり”だった。同年1月に同居する伯父夫婦からの手紙で「ひきこもり」と指摘されたことに反発していた。

幼少期に両親が離婚した後に預けられた伯父夫婦の間には長男と長女がいたが、ふたりはカリタス学園に通い、彼だけは公立の小中学校に通わされたという報道もあった。

他方で「インターネットで人を殺す動画を見て、自分もやってみたくなった」と見ず知らずの女性を殺害した19歳の少年。それは今年5月7日に茨城一家殺傷事件で逮捕された岡庭由征被告(26)も同じだ。

彼は高校2年生の16歳のときに、中学3年生の女子生徒と小学2年生の女児を包丁で刺して大怪我を負わせて、逮捕されている。そこでも「人を殺してみたかった」と供述していた。女児を襲った過去は、酒鬼薔薇事件とも重なる。(「茨城一家殺傷事件は『第2の酒鬼薔薇事件』なのか」参照)。

生きづらさが攻撃性となって表出する

こうしたすべての事件において、その凶行を肯定するつもりはさらさらないが、どこかでうまくいかない自分に不満を抱え、打ちひしがれ、孤立している人間や、あるいは、抑えきれない欲望に苦悶しながら、生きている人間。程度の差こそあれ、誰もが抱く“生きづらさ”と言い換えてもいい。それがある日、堰を切ったように攻撃性となって表出する。

ただ、不明なのは、大阪や秋葉原のようなこうした事件は日付にこだわる理由はどこにもなかったはずなのに、堰を切って思い立った日が、たまたまこの日だったことだ。気候がそうさせるのか、あるいは社会生活上の年次サイクルがそうさせるのか。

この2つの大きな事件が発生した翌日の6月9日は、3年前に走行中の東海道新幹線車内で男が乗客を無差別に襲い、1人が死亡、2人が重傷を負う前代未聞の事件が発生している。「刑務所に入りたかった」「誰でもよかった」という一方的で、極めて身勝手な事件だった。

なぜこの時期なのか。いずれも不思議な因果といえばそれまでの話だが、襲われた側からしたら、たまったものではない。それでも、こうした理不尽な事件と隣り合わせでいることもまた、いまの時代の生きづらさのひとつなのかもしれない。

青沼 陽一郎 作家・ジャーナリスト

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あおぬま よういちろう / Yoichiro Aonuma

1968年長野県生まれ。早稲田大学卒業。テレビ報道、番組制作の現場にかかわったのち、独立。犯罪事件、社会事象などをテーマにルポルタージュ作品を発表。著書に、『オウム裁判傍笑記』『池袋通り魔との往復書簡』『中国食品工場の秘密』『帰還せず――残留日本兵六〇年目の証言』(いずれも小学館文庫)、『食料植民地ニッポン』(小学館)、『フクシマ カタストロフ――原発汚染と除染の真実』(文藝春秋)などがある。

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