日産「マーチ」、11年が経過しても売れ続ける底力 誕生の歴史や位置づけから売れる理由を探る
現行の4代目へは、2010年にモデルチェンジした。4代目マーチは、国内生産をやめ、タイ生産の車両が輸入されることになり、当初は品質に十分でない点も見受けられた。だが、地道な販売を続けた結果、前述のような販売動向が今日も続く。
またマーチは、欧州を含め海外でも販売され、日本以外の市場では「マイクラ」という車名で販売されている。マイクラとしては、すでに5代目へモデルチェンジをしており、2017年から欧州などで市販されている。ただし、こちらは3ナンバー車へ拡大した。従来の5ナンバー車ではなくなり、国内における競合他車とも別の扱いになると考えていいのではないか。このマイクラをマーチとして日本で販売する話は出ていない。
初代からマーチは、10年前後にわたってひとつの車種を長く売ってきたコンパクトハッチバック車であり、ヤリスやフィットと比べても、今なお現行車の外観はそれほど古びた印象を与えないのではないか。ただし、マイナーチェンジにより、フロントグリルの造形は若干変更されている。
11年目に入っているマーチがなぜ売れ続けているのか
ひとつは、伝統的に長く売り続ける車種の位置づけであるため、たとえば安全対策上の基準など行政面での変更が行われなければ、10年前後は売れる新車開発が行われてきたからだろう。
欧州では、8年前後の寿命とする発想が当たり前であり、その間に基になる機構を熟成させることで商品性を維持することが行われている。よく言われるのが、フルモデルチェンジの直前が一番買い得だとされるのもそのためだ。その意味で、マーチも年月を追うごとに成熟の度合いを高めているといえるのではないか。
基本的な走行性能に関しては、ルノーとの提携によって大きく進歩した。3代目で欧州流の走り味を手に入れていたし、現行車も新車試乗の時点で優れた運転感覚があった。課題は、細部の品質などであっただけだ。そうした微調整は、年月を経れば改善可能であり、走行性能に課題がなければ進化させていくことはできる。また、タイの生産工場も経験を積むことで高品質の実現へ熟練したはずだ。
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