日産「マーチ」、11年が経過しても売れ続ける底力 誕生の歴史や位置づけから売れる理由を探る
日産自動車のコンパクトハッチバック車である「マーチ」が、毎月安定して1000台前後で売れ続けている。その5~10倍近くを売るホンダ「フィット」やトヨタ「ヤリス」に比べると数は限られ、一般社団法人自動車販売協会連合会の乗用車ブランド通称名別順位では40位台後半という位置づけだが、2010年のフルモデルチェンジから11年経つ現在も、ベスト50位以内に顔を出すということは、マーチに対する根強い期待の一端を表しているのではないか。
日産マーチは、1982年に初代が誕生した。競合は、トヨタ「スターレット」だ。ただし、1973年の初代スターレットはクーペに近い外観であり、2代目からハッチバック車となった。ホンダには、「シティ」があった時代だ。
マーチが誕生した1980年代は、コンパクトハッチバック車でもパワー競争が起きて、マーチにはスーパーターボと呼ばれ、スーパーチャージャーとターボチャージャーを装備する車種があり、スターレットやシティにもターボエンジン車がある、熱い時代だった。当時はそうしたハッチバック車を「ホットハッチ」などと呼び、身近に手に入れられる憧れの車種だった。
外観も走行性能も劇的に進化した2代目
初代マーチが合理的で角張った外観であったのに対し、1992年の2代目では丸みを帯びたやわらかな印象を与える外観へ変貌した。同時にまた、小さな車体でも室内を快適に過ごせる構成とするなどにより、日欧でカー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。この2代目では、日産として初のベルト式無段変速機(CVT)を自動変速機として採用し、燃費向上を目指した。
2002年の3代目では、また外観が大きく変わる。ヘッドライトを目玉のようにボンネット上で目立たせる造形となり、生き物のような外観を特徴とした。1999年には、日産がルノーと提携を結んだことから、このマーチはルノーと共同開発したプラットフォームが使われ、操縦安定性において格段の進歩を遂げている。そのほか、車体外板色を10色以上揃え、それも人気となり、街に彩り豊かなマーチがあふれた。
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