一方で、「育休を3年くらいは取得して、長く子どもといてあげられるようにする」というのは、耳に聞こえはいいけれど、私には「仕事を休んで育児に専念してください。あなたの代わりの人はいるから心配しないで!」と言っているように聞こえてしまいます。
その後のキャリアや戻り先のことなんて、「どうなってるかはわからないけど、そのときになったら考えましょう」と言われているようにさえ聞こえます。そして、結局これといった手立てもなく、多くの女性をマミートラック(ママ社員用の、一線からは遠いキャリアコース)に乗せてしまうのではと危惧する私は、ひねくれ者でしょうか?
私がリクルート時代に営業として担当させていただいていた中堅中小企業では、優秀な人材の確保は経営テーマで、女性は戦力そのものでした。「3年後に元の職場で待ってるよ」なんてこと、「とてもじゃないけど言えない!」と頭を抱える経営者もいっぱいいるのです。一方で、子どもの体質や自身の体調などで長く休めれば辞めなくて済んだのに……という切実な話もあります。そう考えていくと、育休3年をはじめとする長期育休制度は、人材に余裕のある一部のエスタブリッシュな企業や公務員の方に与えられた、ぜいたくな権利なのかもしれません。
プライドうんぬんより、やるべき2つのこと
すこし厳しい言い方かもしれませんが、きっと復帰のタイミングでこういう葛藤を抱える、とわかっていたけれど、ご自分で決めたことなんですよね。あなたの言うとおり、企業も4年の間に大きく変化しているはずだし、ルールや慣習、雰囲気だって変わっていて、積み上げたスキルも通用しないと思ったほうがいいでしょう。
あなたは31歳ということですから、大卒だとしたら、働いていたのは4~5年ということで、社会人人生の半分は育休だったということ。その前半の成果に対するプライドが邪魔する、なんて言っている場合じゃありませんよ。不安になって当たり前。新人のつもりでとまでは言いませんが、若い後輩と同じレベルだ、と覚悟して復帰するしかありません。
そのうえで、復帰までにやっておくといいことが、いくつかあると私は思います。ひとつは、育休中の自分の成長をきちんと言語化して、自信に変えておくこと。2つ目は会社との距離を埋める努力をすることです。
育休はキャリアロスとイコールとは限りません。確かに休んでいる間に、同僚や後輩たちは仕事で多くの経験を積み、はるか遠くまで走っていってしまっているかもしれません。それでは、育休中にあなたは何も成長していないかというと、そんなわけないのです。仕事と離れ、地域社会と接しながら、思いどおりにはなってくれない子どもたちを育てる日々は、あなたを人としてぐんと成長させてくれていると思います。ひとりの消費者として、たくさんのサービスや商品に触れて、社会的なニーズも感じ取ってきたでしょう。
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