例えばSuicaへのチャージの場合、Visaカードを使いたいときには、Suicaアプリにカードを登録しなければならなかった。Visaがオンライン決済に対応したことで、今では「ウォレット」アプリ内からのチャージにもVisaが利用できる。オンライン決済のみのiPadにも、Visaカードを登録できるようになり、Apple Payの利便性が大きく上がった格好だ。
海外の交通系ICカードも簡単に取り込める
日本では、SuicaやPASMOがApple Payに対応しており、鉄道やバスに加え、店舗での決済にも利用できる。交通系ICカードは、エクスプレスカードに設定できるため、Touch IDやFace IDでの認証をする必要なく、本体をタッチするだけで利用できて便利だ。また、JR西日本は、23年春に「モバイルICOCA(仮称)」のサービス開始を表明しており、今後、Apple Payで利用できる交通系ICカードは、さらに増える可能性がある。
鉄道やバスが独自の電子マネーを発行しているのは、日本だけではない。アメリカ、中国、香港など、世界各国で独自の交通系ICカードが導入され、生活に根付いている。コロナ禍で海外渡航が厳しい状況になっているが、海外出張や海外旅行の際に、鉄道の駅などでプリペイドカードを購入した経験がある人もいるはずだ。iPhoneのApple Payには、こうした海外の交通系ICカードも登録することができる。iPhoneが1台あれば、各国の鉄道やバスに乗れてしまうというわけだ。
筆者はApple WatchのApple Payに、上海と香港の交通系ICカードを登録済み。いずれも、出張時に入手したカードを、iPhoneで読み取って登録したものだ。Suicaと同様、物理的なカードがある場合、iPhoneでタッチしてApple Pay内に残高などを移すことができる。また、アメリカはサンフランシスコとその周辺で利用できるClipperカードや、ロサンゼルスのTAPカードなどがApple Payに対応する。
こうしたカードは、日本で登録することもできる。そのためには、設定の変更が必要。iPhoneの地域が「日本」になっていると、SuicaかPASMOしか登録画面に表示されないため、まずは地域を変更しよう。「設定」アプリの「一般」で「言語と地域」を選択し、「地域」から、登録したいカードの国を選択する。ここでは、「アメリカ合衆国」に国を変更した。地域設定の変更が終わったら、「ウォレット」アプリを開き、右上の「+」ボタンをタップする。
すると、SuicaやPASMOに混じって、変更した国や地域で使われている交通系ICカードが表示される。ここでは、Clipperカードを選択。画面の指示に従い、最低金額の3ドルをチャージしたところ、ClipperカードをApple Payに登録することができた。登録したカードは、先に設定した地域を「日本」に戻しても、表示されたままになる。
中国の上海公共交通カードや、香港のオクトパスカードも同様の手順で設定できる。ただし、これらのカードは、チャージの際に中国の銀聯カードや、香港発行のクレジットカードが必要になるため、日本にいながら新規設定するのはハードルが高い。筆者のように、手持ちのカードを取り込む方法はあるが、日本のクレジットカードだと、オンラインでのチャージができない。現地のチャージ端末を使う手はあるものの、それだとカードとほぼ同じで、Apple Payならではの利便性は失われる。別途カードを持ち歩くより荷物が1つ減って楽になるのは事実だが、無理に取り込む必要はないだろう。
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