資料によれば、この「ライトライン」は全長が29.5m。軌道運転規則第46条では車体長が30m以下とされており、その範囲内ギリギリのところである。その制限の中で、定員数は国内の低床車両のなかで最多の160人、座席数は鉄道の通勤電車並みに広い座席幅としたうえで可能な限りの座席数50席を確保している。
さらに日本で最初となる全扉へのICカードリーダーが設置され、効率化と利用者の利便性の向上を目指している。もちろん超低床車両なので停留場での乗降のときの段差が極小に抑えられることになる。
今後、この第1編成を含め最終的に17編成が納入されることになっている。
軌道法には「上下分離」の概念がない
なお、この宇都宮ライトレールはいわゆる上下分離方式がとられている。上下分離は軌道や車両の所有と経営を分離し、所有について主に地方自治体等に帰属させ、経営を第三セクターその他の事業体に委ねる制度である。鉄道事業を行うには莫大な初期投資と維持のための費用が必要となり、民間で対応することが難しいことから、公共交通維持のため最近採用されるケースが増えている。
一般的な鉄道が適用を受ける鉄道事業法では、第一種鉄道事業から第三種鉄道事業までの事業形態が予定されており、これらに基づいて上下分離を採用することができる。しかし宇都宮ライトレールが適用を受ける軌道法にはその概念がない。
そこで宇都宮ライトレールでは、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づき、「軌道運送高度化実施計画」の認定を受け、上下分離の特例を採用している。これにより、「宇都宮ライトレール株式会社」は軌道運送事業者として経営主体となり、宇都宮市と芳賀町が軌道整備事業者として整備主体となっている。
開業は当初予定の2022年3月から1年延びたが、これから車両の本格的な納入も始まり、軌道や停留場の整備、運転士の習熟などもさらに進んでいくことになる。まったく新設の軌道である宇都宮ライトレールが地域に根差した公共交通機関となっていく姿を見るのが楽しみである。
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