深田恭子の適応障害が決して他人事ではない理由 ビジネスパーソンも気をつけたい3種の症状

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だからこそ大切なのは、自分に対しても、身近な人に対しても、「大丈夫」「休まなくていいだろう」と決めつけず、いい意味で「大丈夫?」「休んでみる?」などと問いかけてみること。「ストレスなんてあるはずがない」「まさか苦しんでいるなんて思わなかった」と決めつけてケアが遅れないようにしたいところです。

ビジネスパーソンの中にも、すでに適応障害の症状が出ている人は少なくないでしょう。少なからずそんな自覚のある人は、休暇を取る、意図的に気分転換のリフレッシュタイムを設定する、不安を吐き出し合える相手を持つ、仕事外の人間関係を複数作って視野を広げておくなど、日ごろの予防策が必要です。さらにそれでも、「つらい」と感じたときは早めに医療機関を受診したほうがいいでしょう。

約23年間トップを走り続ける難しさ

その意味で深田さんが、医師の診断を受け、所属事務所を通じて世間に公表し、ストレスの原因を取り除き、心身を休めることができるのは幸いでした。

深田さんは15歳のときに出演した1998年の「神様、もう少しだけ」(フジテレビ系)でヒロインに抜擢されて以降、約23年間もの長期にわたって主演クラスの女優として出演作を重ねてきました。しかも、求められるのは女優としての演技だけではなかったのです。

「美しさや人気を維持しながら、第一線を走り続けなければいけない」「周囲の注目を集めているため、つねに笑顔を振りまき、気の休まる瞬間がほとんどない」。そんな長年の奮闘に、コロナ禍の心労や労力が加わっているのですから、適応障害かどうかにかかわらず、ゆっくり休むくらいがちょうどよかったのではないでしょうか。

深田さんの頑張りを見続けてきた世間の人々の視線は優しく、ネット上にはこれまでの感謝や応援の声が相次いでいます。「復帰は秋ごろか」などの先走った報道もありますが、「適応障害を改善する目安」と言われる半年という期間にとらわれず、「自分のことだけを考えて、心身が完全に回復するまで休んでほしい」と願わずにはいられません。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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