新ルートに夢が広がる、JR西日本「銀河」の将来性 夏から京都―新宮間で運行、今後はどこへ?
筆者は2020年12月、昼間の運行時に下関から大阪までグリーン車を利用した。グリーン席は、かつての開放型A寝台車に似た構造であり、真ん中に通路が設けられ、両側に2人掛けのボックスシートとなっている。座席はリクライニングしないが、頭まですっぽりとホールドされる構造になっている。
しかしながら腰の部分の安定性があまりいいとは言えず、備え付けのクッションを当てて調整する必要があった。ただ、グリーン車の座席は引き出せば寝台にもなるため、疲れたら横になれる利点はある。
“ノビノビ座席”は頭上の圧迫感があり、昼間に座席として使用するときは、瀬戸内海のほうを向いて座るようになっているが、マットが柔らかいことから、寝心地はグリーン車よりもいいかもしれない。寝台と寝台の間隔を詰めたうえで、トイレと洗面所の数を、1両当たりに1か所ずつとすることで、1両当たりの定員を40人程度に設定できるように感じた。
一方、普通車の座席はシートピッチが1200mmもあり、新幹線などのグリーン車よりもゆったりしているだけでなく、背ずりも高いため、頭まで完全にホールドされる。また座席もリクライニングするため、フットレストこそないが、座り心地に関しては、普通車の座席のほうがいいように感じた。
今後の可能性は?
「銀河」は、夜行列車の復権を掲げており、各方面からもそれを期待する声が強い。だが筆者は、夜行の復権を含めて以下に挙げる3つの可能性があると考える。
2:昼行の特急列車の活性化
3:「シュプール」(スキー列車)の復活
「銀河」を活用することで、これらをどのようにして実現できるであろうか。まず、夜行列車復権に向けた可能性である。今年の夏~秋にかけての京都―新宮間の運転では、往路が夜行となる。
かつて天王寺―新宮間には、普通夜行列車「はやたま」が運転されており、寝台車の営業もあった。その後、寝台車は廃止されたが、列車自体の運転はJRになっても継続された。この列車が運転されていた背景に、紀伊勝浦から新宮周辺が磯釣りのメッカであり、釣り人が主な利用者であった点が挙げられる。
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