新ルートに夢が広がる、JR西日本「銀河」の将来性

夏から京都―新宮間で運行、今後はどこへ?

現在は高速道路の延伸もあり、釣り人は自家用車に流れてしまったが、夜行列車の運行は世界遺産登録された熊野古道とともに、新宮周辺の観光地を組み合わせた新たな観光客誘致の可能性を秘めていると言える。

「銀河」は117系電車を改造した車両のため、原則として全線が直流電化区間でなければならない。夜行として運行する場合、京都―出雲市間や京都―新宮間以外であれば、京都―下関間は有力なルートとなるであろう。

また、京都と広島間を呉線経由で結ぶことも考えられるだろう。「トワイライトエクスプレス瑞風」は、山陽本線上りのコースでは呉線に入線し、瀬戸内の日の出を体験できるようにしている。新規需要の開拓と呉線の活性化も加味して、可能性としては考えられるのではなかろうか。

他社にまたがれば、東京―大阪間、京都―松山間、大阪―長野・南小谷間などは需要が見込めるであろうが、乗務員確保の問題から難しいと言える。今後も「銀河」の人気が続くのであれば、最高運転速度や改造に対する制約などもあり、完全な新製車を導入したほうが得策となるだろう。

昼行で生きる普通車個室の利点

次いで、昼行列車としての可能性である。昼の運行は、すでに大阪―下関間で実施しており、今夏からの新宮―京都間も昼行運転となる。

JR西日本管内では、紀勢本線の「くろしお」系統や山陰本線・福知山線の「きのさき」系統の特急列車は、高速道路の延伸や沿線の過疎化の進展などもあり、利用者が減少傾向にある。新宮―京都間の昼行列車としての運行は、紀勢本線の魅力向上に貢献することとなろう。「銀河」の普通車個室は定員が4人である。グリーン個室は夜行運用では定員が2人であるが、昼間は定員が4人となることから、自家用車1台分の定員となり、家族やグループ層を取り込むことが可能となる。

昼行の特急列車への活用としては、出雲市―岡山間も考えられる。夜行列車として関西―山陰間で運転される際、朝に出雲市に到着した後は、夕方の発車まで車両基地で待機している。それを有効活用して、昼間に出雲市―岡山間で運転できないだろうか。同区間には特急「やくも」が運転されているが、「銀河」の車両を活用することでほかの交通機関との差別化を図り、出雲地方の鉄道活性化に貢献できるだろう。

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