新ルートに夢が広がる、JR西日本「銀河」の将来性 夏から京都―新宮間で運行、今後はどこへ?
ただ、昼行列車として運行する場合、ダイヤに対する配慮が必要である。
筆者は下関―大阪間の昼行「銀河」に乗車したが、臨時列車であるから定期列車の合間を縫って運転せざるをえない。広島の手前の横川や福山の手前の備後赤坂では、扉も開閉しない状態で30分程度の運転停車があり、それぞれの駅で普通列車2本に追い越された。また、姫路―大阪間では土山で15分程度停車して新快速に抜かれるなど、停車時間が長い。
長時間停車が生じる際は、ホームでイベントを開催するなどの工夫は今後も重要であろう。
スキー列車は難しい…?
最後に、冬季のスキー列車としての可能性である。かつては冬になれば、スキー専用列車として「シュプール号」が多数運転されていた。ところが2000年代になると、不況やスキー人口の減少、高速道路の延伸、格安スキーバスの台頭、車両の老朽化もあり、「シュプール号」の運転は年々減少した。現在では「シュプール号」は運転されていない。だが、新たな夜行列車として「銀河」が登場した今、スキー列車としての活用も考えられるであろう。
かつてJR西日本で人気が高かったのは関西から信州方面への「シュプール号」であったが、この区間を運行する場合は他社への乗り入れが必要となり、乗務員確保の観点でも乗り入れは困難である。
そうすると、現在の「銀河」を使って運行可能なのは関西から大山(鳥取県)方面へ向けた、大阪(京都)―米子間が考えられる。だが、格安なスキーバスと価格面で競争するとなれば、列車は特急でなく割安な「急行」としなければ勝負にならないうえ、コロナ禍では定員まで乗客を乗せることができないため、当面は難しいであろう。
「銀河」は、試行という要素が強いと考えられるが、夜行列車(寝台)だけでなく、昼間の特急列車の活性化や「シュプール号」の復活など、今後に向けた展開が考えられる要素が盛りだくさんである。「銀河」のノウハウをベースに、新たな魅力的な設備やサービスを実施する列車が誕生することが期待される。
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