堀江貴文さんが「糖尿病の最新治療薬」を飲む理由 行動変容のために「デジタル薬」も必要だ
「私たちが開発を進めているアプリは、患者さんが食事・運動・服薬・体重・血糖値・血圧などを入力すると、その内容に応じてメッセージが表示され、行動変容をうながして治療効果を得るものです。通常の治療薬と同様に医師が『処方』し、健康保険が適用されることを目指しています」
糖尿病治療の場合、日々の生活習慣がきわめて重要だが、医師にはなかなか見えない。しかし、このアプリなら1~3カ月分の数値を記録できるというから、患者さんを通して聞き取っていた情報を短時間かつ正確に把握することができる。また、服薬の乱れ、たとえば昼食後の服薬ができていないことがわかれば、朝夜のみの薬に替えることも提案できる。
患者さんにしても、自分が食べたものを写真に撮って見てみると、たとえば脂っこいものやカレー、ラーメンなど「茶色いものばかりだ」とすぐにわかる。これなら、行動変容を起こしやすい。
ここでも日本は遅れている
具体的な使用方法も聞いてみた。
「診断を受けた患者さんは、医師から『処方コード』が発行されます。それを自分のスマホにダウンロードし、食事・体重・血糖値などを入力します。入力された数値は、日本糖尿病学会の『糖尿病診療ガイドライン』に沿って複数の医師の監修のもと構築したアルゴリズムで、解析を行います。そして、エビデンスにもとづくガイダンスや心理的ケアが、患者さんに配信されます」
淺野社長によれば、デジタル薬はアメリカが日本より10年先行しているという。アメリカでは2010年にウェルドック社が糖尿病治療用アプリの承認を得てからは、薬物依存や小児ADHD(注意欠如・多動性障害)などのデジタル薬が次々に実用化している。いっぽう、日本では2020年8月、ようやくニコチン依存症治療用アプリが国内初の承認を得た。
日本の高齢化は今後ますます進むだろう。高齢化が進むということは、糖尿病をはじめとする生活習慣病になる人が増えるということでもあり、その治療には、患者さん自身の行動変容が不可欠である。この行動変容にきわめて有効なのが、デジタル薬だ。糖尿病治療を画期的に変えるデジタル薬の開発を待ちたい。
次回は、いよいよ糖尿病や糖尿病予備群にならないための予防法を紹介する。おすすめは、エビデンスのしっかりしたダイエット法だ。これは糖尿病予防だけでなく、肥満に悩むすべての人に実践してほしい。なにしろ、簡単にできてリバウンドもなく、体にいいのだから。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら