アクセンチュアvs電通、異業種バトルが白熱の訳 薄れる広告とコンサルの境界線、勝負の行方は

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例えばアメリカの人気パンケーキチェーン「IHOP」の事例では、顧客調査やデータを基にブランドの定義を見直し、研修教材からオフィスのデザイン、メニューの刷新、CM制作、「ハッシュタグ」を活用したソーシャルメディアでのキャンペーン、ネット広告の運用、新業態の開発までを手掛けた。その結果、IHOPは8四半期連続で増収を達成したとドロガファイブは強調する。

アクセンチュア日本法人インタラクティブ本部の黒川順一郎統括本部長は、広告代理店との違いとして、「特定の商品の広告を手掛けるということは積極的にやろうと思っていない」と話す。

電通にとっては「仮想敵」

アクセンチュアとは逆に、広告業界からコンサルビジネスを広げようとしているのが電通グループだ。同社は今年2月に発表した中期経営計画で、「顧客企業の事業変革」を注力領域の1つに挙げた。つまり戦略策定も含めたコンサル機能の強化だ。

国内広告最大手の電通グループもコンサル領域を強化している(編集部撮影)

電通のビジネスモデルは長年、テレビなどのマスメディアの広告枠を買い取り、それをクライアントに販売し、クリエイティブの仕事も請け負うのが主流だった。だがネット広告が台頭したことでテレビ広告は大きな成長が見込めない。サイバーエージェントなどネット専業の広告代理店も強い。

そこで広告に限定せず、電通デジタルや電通国際情報サービス(ISID)といった子会社を先頭に立たせ、デジタルマーケティングに必要なシステム開発や、より広範な事業戦略のコンサルまで広げようとしているのだ。

今年5月には国内コンサル会社のドリームインキュベータの株式を20%取得し持ち分法適用会社とすることを発表した。「この領域ではマッキンゼー・アンド・カンパニーやアクセンチュアといったコンサル会社を仮想敵だと考えている。特にアクセンチュアは(企業のマーケティング戦略立案などで)コンペになることが増えている」(電通グループ関係者)。

国内事業を統括する電通ジャパンネットワークの五十嵐博CEOは、「今までの広告やコミュニケーションの領域だけでなく、システム開発やデジタルソリューションなど事業範囲が広がっており、クライアントの経営陣とさまざまな形で話ができるようになっている」と2月の中期計画発表の場で話している。

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