英会話は「習う」と「慣れ」の両方必要 日本の英語教育を変えるキーパーソン 加藤智久(2)

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最初の3カ月の顧客は月1人!? でもワクワクした

安河内:レアジョブ英会話の立ち上げはどんな感じだったのですか?

加藤:まずプレサービスから始めました。フィリピン人が講師の英会話という部分は同じですが、当時は1レッスン50分でした。友人数人が使ってくれたのですが、実際におカネを払ってくれるのは1カ月に1人いるかいないかという状態が3カ月続きました。

安河内:厳しい滑り出しだったのですね。

加藤:そうなんです(笑)。戦略コンサルタントじゃなくても普通に考えれば、「見込みのない市場かな?」とその時点で考えると思います。もちろん、自分の中でもダメかなという考えはありましたが、それ以上にこの新しい事業にワクワクしている自分がいました。

当時は戦略コンサルティングファームの仕事をまだしていたのですが、ミーティングをしていても上司の話が全然耳に入ってこないような状態でした。新しい自分の事業のことしか考えられなかった。そんな私の姿を見た上司からは「お前、プロフェッショナルじゃないな」と言われました。確かにそのとおりだと感じ、会社を辞める決意をしました。

安河内:ということは、最初は副業みたいな感じでやっていたわけですね。

加藤:実はそうなんです。

安河内:起業を考えているサラリーマンには勇気の出る話ですね。でも、3カ月やって授業料を払ってくれるのは月1人という状態で、どうしてそうワクワクできたのですか?

加藤:その当時はわからなかったのですが、今、思い返せば戦略コンサルタント時代に一緒に仕事をしていたハーバードや北京大卒の上司や同僚と同じぐらい優秀なフィリピン大学の子たちが卒業しても、全然、仕事がないという現状があったと思います。経済的にまだまだ貧しいフィリピンに対して、インターネットを使った仕事を自分が提供できる。

しかも、NPO的なものではなく、日本人が本当に必要としている英語に対する慣れという機会も徹底的に提供できる……。そんな状況におそらくワクワクしていたのです。それで会社を辞めて、今のカタチのサービスを本格的に始めたら上向いていったという感じです。

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