中国「ペット福袋事件」に見た深刻な動物虐待 宅配の荷物から約160匹の犬と猫が発見された

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中国では以前から、「星期(一週間の意味)犬」「星期猫」という言葉がある。劣悪な環境で育てられたり、病気にかかっていたりして、消費者が購入後、1週間ほどで死んでしまうペットという意味だ。

ペットのブラインドボックスは、「秋田犬」「ラグドール」など高級種が入っている可能性もあると宣伝され、同時に「7日以内に死んだ場合は、半額を返金する」などとの注釈もついている。

中国各地で相次ぎ発覚

ただ、実際には健康状態に問題があるペットが、投げ売りされていたとの見方が多い。業者にとっては「処分」だから、荷物として宅配便で送られ、途中でどうなろうと構わないのだろう。

冒頭の事件後、ペットを配送していた大手宅配企業は罰金処分に科せられたが、その後、中国各地で、同じようなケースが相次ぎ発覚している。

兄から譲り受けた猫と暮らす北京市内の20代男性は、「ペットのブラインドボックスは、あわよくば安くブランド品種を買えるかもしれないという消費者の欲につけこんだやり方。そういう消費者がいる限り、ペット業者の動物虐待はなくならない」と憤った。

浦上 早苗 経済ジャーナリスト

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うらがみ さなえ / Sanae Uragami

早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育など。中国メディアとの関わりが多いので、複数媒体で経済ニュースを翻訳、執筆。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。新書に『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。
Twitter: @sanadi37

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