中国「ペット福袋事件」に見た深刻な動物虐待 宅配の荷物から約160匹の犬と猫が発見された

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ブームがバブルに変貌する中で、動物のブラインドボックスが登場したのは、必然でもある。中国は数年前から空前のペットブームが続いており、この組み合わせに業者が飛びつかない理由がないからだ。

調査会社の艾瑞咨詢(iResearch)が今月発表したペット白書は、2020年の中国ペット業界市場が3000億元(約5兆円)に迫り、2023年には4456億元(約7兆5000億円)規模に拡大すると見込んでいる。

コロナ禍のステイホームで市場拡大はさらに加速している。ペット情報サイト「狗民網」によると、中国で飼われている犬、猫の頭数は、2018年にアメリカを抜いて世界首位に立った。飼い主は20代と独身がそれぞれ半数を占め、88%が女性だそうだ。

趣味に支出を惜しまない都市部の若者が、不要不急の商品を販売する企業にとって最も重要なターゲットであることは、POPMARTの躍進からもわかる。

消費者の欲も動物虐待の背景

文房具、化粧品のみならず、目的地が明かされない航空券さえも「ブラインドボックス」の人気商品となる中、確実に利益が期待できるペットのブラインドボックスは、昨年から多くのECサイトで取り扱われていた。今回、たまたま成都の動物保護団体がトラックを不審に思い、中身を確認して警察に通報したことで、闇の部分があぶりだされただけとも言える。

本質的な問題は、ペットがブラインドボックスで売られることよりも、動物の健康や命を粗末に扱う業者が後を絶たないことだ。ペットが宅配便で送られること自体は数年前から断続的に発覚し、批判を受けてきたし、2019年にはクレーンゲームの景品として子犬が投入された動画が大炎上した。

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